私の敬愛するバンド・くるりの岸田繁がTwitterやラジオで度々『鬼滅の刃』について触れているのに触れている。先日私の住むN市の本屋をうろついていたらご他聞に漏れず「鬼滅」のワゴンがレジ前に出来ていた。よくその名を耳にする作品。私はまだちゃんと原作漫画を読んだことがなかった。そこで気になったのが『吾峠呼世晴短編集』だった。

ここで素直に鬼滅の刃1巻にいくのではなく、偶然の出会いをしたほう(短編集)に行くのがいいなと思って買って帰った。

先日プライムビデオで映画『ファイト・クラブ』を観てから、映像鑑賞熱が保続している。『鬼滅の刃』を検索する。アニメがある。プライム会員に開放されていた。観れるぞ。お昼に観始める。

舞台は雪が降っている。主人公・炭治郎は6人家族で暮らす。父親はいない。くらしぶり、身なり、舞台をみるに…いつくらいの時代設定なのだろう。「むかしばなし」にありそうなファンタジー感。(※のちに大正時代だとわかる)

炭治郎は鼻が利く。炭を売りに降りていった(炭治郎たちは山に住んでいる)町で、うつわを割った容疑をかけられて助けを求めてきた知人。知人の持つ、破損してしまったそれの匂いを嗅いで「猫」と断じる炭治郎。知人を疑っていた町の人はその場で納得する。これらをみるに、炭治郎の鼻が利く、信頼できることは町に知れている。こっちにも炭をくれと町の人に呼ばれる炭治郎。町の人に慕われ、気に入られている様子。

炭治郎は長男のようである。きょうだいたちにも慕われてみえる。町に炭を売りにいく炭治郎について行くのを請うきょうだい。その日の事情を根拠に、今日はだめだと説く母親。炭治郎はうまいもの買ってきてやるからとなだめる。最終的にまるくおさまる。あとから思えば、ひとりでも多く家族を無理にでも連れて行ったほうがよかったのかもしれない・・・

炭治郎が外出している間に家族は惨殺されてしまう。この世界には鬼がいるらしい。人を殺すし、血肉をすする。妹の禰豆子(ねずこ)だけはまだ息があった。きょうだいをかばうようにして戸外にはみだして倒れていたのだ。町に連れて行けばまだ助かるかもしれない。炭治郎は禰豆子を連れて走る。つらくても、走る。途中で道を外れ、滑落するふたり。

禰豆子の様子がおかしい。炭治郎に襲いかかる禰豆子。血走った目、顔面。力が強い。異常だ。青筋がはしった顔。その形相は鬼のよう。そこに鬼を狩る者(冨岡 義勇)が現れる。刃を禰豆子に向けて振るう。禰豆子とつかみあったまま身をひるがえしてそこから退く炭治郎。妹を斬らせるわけにはいかない。

ずっと雪が降っている。ふわふわと舞い降りる質感が美しい。キャラクターの手前に、奥に。アニメーションの技巧的な部分も魅力。近代的な技法?を含めたむかしばなしのようなファンタジーの世界。血がにおい、殺伐としてもいる。炭治郎のいたたまれない感情も私に流れ込んでくる。

“鬼滅”アニメ、ィヤ〜よかった。岸田さんが度々作品の名前をあげて話題にする理由、その入り口の部分くらいはアニメを一話観て認めた私。

青沼詩郎

鬼滅の刃 アニメ 公式
https://kimetsu.com/anime/risshihen/
劇場版 鬼滅の刃 無限列車編 が2020年10月16日に公開。