映像をみる

歌番組?

https://youtu.be/fzQINgVTHqc

1975年の曲の発表時に近い時期の映像を編集したものか。TV番組でしょうかね。シングル版のアレンジを生演奏しているようです。バンドの乗ったステージセットが太田裕美の後ろで回転。最初、何がどう動いているのかわかりませんでした。2コーラス目で映像中の太田裕美の衣装が変わります。別の映像をクロスさせたようです。音のつながりは非常になめらかで境目がわかりづらいですが、よくよく聴くと0:57付近の歌詞「染まらないで帰って」を繰り返すあたりに編集点があるように感じます。2コーラス目が終わると3コーラス目はカット、再び冒頭と同じ赤い衣装の映像に戻りました。「涙拭く木綿の……」と歌うところで指で目元〜目尻を拭い、小刻みに首を揺らすふるまい。曲想を身振りでも表現しています。

紅白

小芝居からはじまり、応援を受けて太田裕美が登場。くるくるとバトントワリングの演出が画面を忙しくさせます。テンポが非常に早い。煽られるようで、みている方が興奮させられます。紅白の1歌手あたりの出演時間の制限の都合か。手拍子と演奏が合いません。超特急で終わってしまう感じですがこれはこれで非常にインパクトの強いステージです。ますます応援したくなりますね。こちらも何かの番組に出演したときに紅白出演を振り返ったときの映像のようです。曲の発売翌年の1976年の紅白だったようです。

曲についての名義、概要など

太田裕美のシングル、アルバム『心が風邪をひいた日』(1975)に収録。作詞:松本隆、作曲:筒美京平、編曲:筒美京平・萩田光雄。

太田裕美『木綿のハンカチーフ』(シングル版)を聴く

右にクリーン〜クランチなトーンのギター・リフやオブリガード。やや右寄りにアコースティック・ギターのストロークがいます。

ストリングス。なんといってもイントロの16ビートの刻みが華。主和音の第5音、主音を刺繍しながらオクターブを駆け上がります。Aメージャーキーですので「ミファ♯ミファ♯ラシラシミファ♯ミファ♯ラシラシ」といった具合です。最初の「ミファ♯ミファ♯ラシラシ」が右、後続のオクターブ上の「ミファ♯ミファ♯ラシラシ」が左から聴こえます。定位づけで耳の注意をひきます。このイントロひとつで曲に華やかで絢爛な印象を与えています。またコードのメジャーセブンスを出しているのもときにストリングス。伸ばしたトーンに和音の緊張感やけだるさ、洗練やアカ抜け感が宿っています。大部分は左寄りに定位していて右側のアコギやエレキのギターと対になっています。

左にエレピがいる部分があるでしょうか。後半のほうのコーラスか。これも右のギター類との対になっています。

フルート。右寄りにいて要所でオブリガード。シンセの音との相性も良いですね。Bメロに入る前などではタンギングを用いたリズミカルなフレーズも吹いていて良いアクセントになっています。

シンセ。ちょっとフルートや口笛、汽笛にも似たような空気系の音な感じもします。オクターブ、もしくは2オクターブ離れた周波数が基音に加えられているのかしら。何かのミニマム・ミュージックで聴き覚えのあるようなまるみのあるキャラクターで、この曲のサウンド面の個性を大きく握る重要なキャストです。

ベース。ヒラウタでは和音の主音と5音を用いて1〜3拍目でシンコペーションのノリを出し4拍目ではオモテにストローク。サビでは2拍目のオモテにストロークポイントがあらわれるのでまるでテンポが倍になったらようなノリ。推進力が出ます。よくシェイプされた線を感る音作りです。ドラムスと組み合わさって、雑味のない近い音像です。

ドラムス。ミュートのきいた短くマイルドな音。ベースと音作りの方向性が揃っていていい相性。まとまりのあるベーシックサウンド。ヒラウタでは2拍目オモテと3拍目ウラにスネアのストロークポイントのあるパターンが独特。サビではキックが4つ打ちに。2拍目と4拍目はスネアとキックが同時に鳴るので、ベースのパターンの変化と相まってビートが力強く前に進んでいきます。

2:32〜頃にきこえるコーラス・ワークがアカ抜けた印象。Bメロで右のギターとユニゾンする「フッフ〜」といった動きも。

歌詞

語尾に人格があらわれます。なんとなく聴き及んで認知している曲でしたが、男女のキャラクターを一本道の歌に交互に配置して1人の歌手が歌う曲だったのですね。

複数のキャラクターがいることが、この曲を飽きない・朽ちない・埋もれないものたらしめているのかもしれません。何回聴いてもずっと言葉が輝いています。生きた人格が生の、鮮度ある言葉を言っている。そんな感じです。

後記

曲想を歌いこなす太田裕美。音楽の素養ある人のようです。的確な発声と発音を持ち、みずみずしい歌が魅力。行き届いたバッキングの音作りとの両輪で記憶に残る不朽のポップサウンドを呈しています。

アルバム『心が風邪をひいた日』収録バージョン。スムースでクリーンなエレキギターが導きます。ストリングスがおとなしめで素朴なサウンドアレンジ……と感じるのも、シングルバージョンが絢爛極まるからでしょう。このアルバムバージョンもじゅうぶん豊かでやわらかな抱擁に満ちたサウンドです。

青沼詩郎

参考歌詞サイト 歌ネット>木綿のハンカチーフ

参考Wikipedia>木綿のハンカチーフ

太田裕美 ソニーミュージックサイトへのリンク

太田裕美のオリジナル・アルバム『心が風邪をひいた日』(1975)。シングルと異アレンジの『木綿のハンカチーフ』収録。

太田裕美の2枚組CD『GOLDEN☆BEST 太田裕美 コンプリート・シングル・コレクション』

『木綿のハンカチーフ』含む、太田裕美の配信版シングル集

ご笑覧ください 拙演