おはようございます。今晩(執筆時)は、くるり主催「京都音楽博覧会2020」配心(配信)です。わくわくしながら私はくるりのレパートリーを鑑賞しています。先々月の11日(土)には『LIVEWIRE くるり in 京都磔磔』がありました。京都の老舗ライブハウス・磔磔からのライブ配信でした。新型ウイルスによる感染症拡大の影響を受けて、予定していたツアー『特Q』を中止した彼ら。素早く未収録音源集のアルバム『thaw』を4月に配信、5月にCDを発売しました。

そして7月に先の『LIVEWIRE くるり in 京都磔磔』。岸田繁氏のつかった言葉を借りていえば「エライことになった」世の中ですが、その中で模索しスピーディーにアクションを重ねるくるりを私は敬愛しています。

そして彼らが2007年〜毎年開催してきた「京都音楽博覧会」ですが、これも例年通りならば京都・梅小路公園に人を集めて開催するはこびだったであろうにも、この情勢に対して「配心(配信)」という方法・かたちに舵を切りました。それが2020年9月20日19時30分からなのです。

『LIVEWIRE くるり in 京都磔磔』でも、ラスト前に演奏された曲『奇跡』。そのときの演奏も素敵なものでした。サポートメンバー・松本大樹のリードギターがメロウでカッコ良かったのが印象に残っています。

『奇跡』はくるり4th DVD『武道館ライブ』に収録されている演奏がYouTubeに公開されています。

これがパーフェクト・クオリティ。私は賞賛するときにできるだけ盲目的な表現はつかわないように心がけているのですが、くるりに関してはゆるくなってしまうただのファンです。そしてそんな私のごたくは抜きにして、このくるりの武道館での演奏はいくら誉めても誉めすぎることがない。マジで素晴らしいです(盲目? いえいえ!)。演奏メンバーの持ち寄ったすべての心が見事に織を成しあっているのです。本当にパーフェクト。

ボトルネック奏法を用いたギターはフジファブリックの山内総一郎。目立っているパーカッショニストはくるり元メンバーの田中佑司。ドラムスは『LIVEWIRE くるり in 京都磔磔』でも快演でした、BOBO。バッキング・ボーカルのクレジットが “Yoshito Fuchigami: Backing Vocal Yumi Endo: Backing Vocal Masayuki Okazaki: Backing Vocal” となっています。(YouTube説明欄を参照・引用させていただきました。)あまり映らないのですがいちばん目立つ副旋律を歌っているのが渕上祥人氏でしょうか。映像上では強調されませんが、ピッチ、ニュアンス、メインボーカル・岸田繁とのアンサンブルなど音楽面で素晴らしいものがあります。

鍵盤には世武裕子。4月(2020年)に配信されたくるりのアルバム『thaw』の肝要な一曲『心のなかの悪魔』でもピアノを担当しているのが記憶に新しい、くるりファンにはおなじみの秀でたミュージシャン・シンガーソングライターです。

『奇跡』は是枝裕和監督映画『奇跡』(2011)主題歌。シングル、アルバム『ベスト オブ くるり / TOWER OF MUSIC LOVER 2』(2011)に収録されています。

映画はプライムビデオでも観られるのが確認できました(※執筆時)。

『奇跡』フルバージョンは先に紹介したアルバム『ベスト オブ くるり / TOWER OF MUSIC LOVER 2』で各社サブスクリプションサービス等で配信されています。

オリジナル音源も当然ながらすばらしい。私が特に好きなのが、すべての歌詞を終えたあとのエンディングにさしかかるときの佐藤征史氏によるベースソロです。そしてエンディング上で、低音Ⅴ(シ♭)上で鳴らされるⅠ7の響き、バックグラウンドボーカルで表現した和声。この濁ったぶつかった緊張感がコード進行のアタマのⅣ(A♭)の響きに接続して長い後奏に緊張感を継続的にもたらし、その上で寸分たがわぬ精確な山内総一郎のスライドギターのソロが鳴動します。

結果、くるり史上でも6分半に及ぶ最も1曲の収録時間が長い曲のひとつですが、その長い時間を持て余すことなく私を感動でわななかせます。先に紹介した武道館ライブの演奏はさらに後奏がビルドアップされている様子。私の見立てではアルバム収録音源より16小節長いでしょうか。山内総一郎からソロが鍵盤の世武裕子に渡ります。名演です。

と、今晩の「配心」に向けて気持ちが上がっているのをここに漏らしてみました。

お読みいただき、ありがとうございます。

青沼詩郎

(リンク) くるり オフィシャルサイトへ