この曲がリリースされたときの私は2歳とかそこら。

ECHOESの音源がこの曲のイメージとして浮かぶけれど、先にリリースされたのは川村かおりのシングル、アルバム『ZOO』(1988)。翌年、曲の提供者である辻仁成らのバンドECHOESもセルフカバーをリリース。

https://www.nicovideo.jp/watch/sm851714 MV

次々に登場する動物の名詞。その特徴や習性。それが人間の私たちの特徴や習性とこんなにも通ずるところがあったなんて。

サウンド

https://spotify.link/2YbSCHE51Cb

洋楽っぽいクールなサウンドだと感じるのは引き締まったドラムスの音の印象が大きいんだろうか。ベルの音を模したシンセ(?)やオルガンが盛り上げる。アコースティックギターが支えるベーシック。ピアノも加わる。間奏のハーモニカは下属調キー(Cに対してF)のテンホールズを用いればこのスケールが再現できる。

歌詞

動物と人間の似ているところをひととおり歌い、やってくるサビでリフレインする“愛を下さい oh… 愛を下さい ZOO”(『ZOO』より、作詞・作曲:辻仁成)。人間を動物の様子に重ねる表現に観察、連想や関連づけのおもしろみがある。そのメロののちに「愛を下さい」と投げかける。客観でつづるメロと主観でつづるサビの対比が際立つ。

エンディングで目立ってくるオルガンがはっぴいえんど『風をあつめて』みたい。かっこいい。

川村かおり

ちょっとあどけない。若いあやうさ、不安定さの表出したようなボーカルが魅力的。アレンジは作曲者の辻仁成。サビのコード進行の細部、「愛をください」の乗せ方(リズム)、1回目・3回目のBメロ折り返しの歌詞の一部など違いがある。

フルボリュームのABCD構成?

僕達はこの街じゃ…」に続き「見てごらん よく似ているだろう…」。それに続き「ほらね そっくりなサルが…」のフレーズ。に次いで「愛を下さい」に至る。

AメロBメロCメロまであって、いちばん主観の温度が高くなるサビ「愛を下さい…」はDメロ? 世のヒット曲には小気味良いコンパクトな構成を持ったものも多いけど、『ZOO』は大きいサイズとボリュームを聴かせる稀有な曲だと思う。歌詞の妙、普遍的なサビ(先程Dメロと呼んだ部分)が広く受け入れられた結果だろうか。

ライブ映像 at Zher the ZOO YOYOGI

『ZOO』〜自腹ツアー追加ライブ(2014/11/28)〜

ライブ映像やバージョン違い、演者違いも様々多い名曲。代々木Zher the ZOOは私も出演歴があって、ちょうどこのライブ映像の2週間くらい前に私も出演してレコ発みたいな対バンイベントを開いたんだった。下手(向かって左)のほう、このライブハウス独特の壁の模様と質感が懐かしい。

青沼詩郎

『ZOO』を収録したECHOESのアルバム『Dear Friend』(1989)

『ZOO』を収録した川村カオリのアルバム『ZOO』(1988)

ご笑覧ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『ZOO(川村かおりの曲)ギター弾き語りとハーモニカ』)

青沼詩郎Facebookより
“ECHOES演奏の音源が脳内に浮かぶけれど、先に川村かおりに提供され歌われたのちにECHOESにカバー(セルフカバー)されるという順番。
作詞・作曲:辻仁成。
菅野美穂主演のドラマ『愛をください』(2000年)主題歌として再ヒット。役名で歌ったシングルも出た。
人間の習性を動物の特徴で表現したような歌詞。人間の社会もまるで動物園だと思わせる。それに対してサビの「愛をください」が際立つ。
動物たちの姿をおのれの鏡に。私たちは毎日動物とすれ違って街をあるき、動物と会って仕事をし、動物と生活をともにする動物…なのかもしれない。辻仁成の作家としての活躍に合点がいくヒット曲でもある。”

https://www.facebook.com/shiro.aonuma/posts/3482471401846509