続きを読む オフコース『眠れぬ夜』 カタルシスの全終止 感傷を清く滑らかな質感で描きます。言葉と音楽の関節がやわらかいソングライティング。A・Bメロでただ一度の全終止にカタルシス。眠れぬ夜や雨の日と愛の記憶はどちらが先か。真ん中にハイライト、山なりの図形が浮かぶ構成です。
続きを読む デューク・エイセス にほんのうたシリーズ 『女ひとり』と旅したい京都 〜“恋に疲れた女”の、きもの姿〜 着物の色柄は主人公の女性の心の鏡かもしれません。どんないでたちなのか想像することは、同時にその胸の内を想像することでもあります。京都には津々浦々の文化が舞い降りる。
続きを読む 沢田研二『勝手にしやがれ』 己、貫く美。 絢爛なイントロは再現のない特別仕様。“アアア…”のリフレインでベースとボーカルメロディ間の波高が上がっていきます。コンパクトでキレ良く余韻もある歌詞。ジュリーの歌唱の妖艶。疾走する間奏・後奏の移勢。鮮烈です。
続きを読む 高石ともや 受験生ブルース 悲哀とは、離して見ること。 自分が当事者だと笑えないことも「時間が経つ」距離で客観が容易になります。高石ともやの底抜けに明るいパフォーマンスに温かい気持ち。歌詞のおかしみがジワジワ。シングル版の小ネタはWe Shall Overcome。
続きを読む 藤井フミヤ『TRUE LOVE』 誰もが私を忘れても 豊潤なアコースティックギター。骨太なベーシックと分離よく響く声質、繊細なメロディ。弱起を中心にAメロとサビを紡ぎ、“はるか はるか”のところで核心を露わにします。愛の詠み人が特定できなくなっても、観念よ残れ。
続きを読む ポルノグラフィティ『サウダージ』 眼差しを交う命運 曲のクオリティ、アレンジ絶妙。いちばん表層で迎えているのが、岡野昭仁のボーカルキャラクター。「曲を必要とするあなた」に、私はようやくなれたのでしょう。
続きを読む UNICORN『雪が降る町』 年末とサイレン メロのコード進行がスパイシー、サビは堂々。バンドのアレンジメントもいわずもがな、奥田民生ボーカルのパワー。メロディの生命感と躍動でジングルベルも震えます。クリスマスと年越し近辺をおおう守備範囲の広さが庶民の私に親近感。
続きを読む L⇔R『KNOCKIN’ ON YOUR DOOR』キャッチー爆破でノーガード 頭サビ構成の妙。歌詞「I’m Knockin’ On Your Door」の響きが柔和です。「あの日のように、どう?」みたいなソラミミを誘う、日本語っぽい響きを併せ持っています。多彩な楽器がクロスするサウンド華やか。
続きを読む 浅川マキ『かもめ』 未来の没む港町 主人公は、女の未来を奪い自分にもまっくらくらの未来を贈った結末か。港町は、いくつの人間の未来を吸い込んだのでしょう。別の機会に、港町を舞台にした明るい歌を取り上げてフォローを入れたくなります。暗い歌や物語、私は好きです。
続きを読む くるり『三日月』 雲隠れ、再会。 くるりの説得力は、ことばと音楽の密接な反映関係によって生み出されているのではないでしょうか。雲が月を隠しちゃって、しばし不安になり、また出てきたときのときめき。主和音ごとの句読点は章立てにも似ます。ストンと入るのです。
続きを読む 大黒摩季『ら・ら・ら』 素顔で唱える、人生折り返しアンセム。 『ら・ら・ら』はシンガロングを意識して作られたのでしょうか。他者への意識・配慮・おもいやりは愛につながる要素です。ららら…の約4小節の発想で「勝った!」と私なら思うかもしれないくらい雄弁を秘めた光るモチーフです。