続きを読む 大黒摩季『ら・ら・ら』 素顔で唱える、人生折り返しアンセム。 『ら・ら・ら』はシンガロングを意識して作られたのでしょうか。他者への意識・配慮・おもいやりは愛につながる要素です。ららら…の約4小節の発想で「勝った!」と私なら思うかもしれないくらい雄弁を秘めた光るモチーフです。
続きを読む 稲垣潤一『クリスマスキャロルの頃には』 「離れる」をやって、見る。 主人公と相手の関係は、少なくともクリスマス当日前後の1日〜2日間、その「点」を境にどうこうなるものではない……そんなうっすらとした冷ややかさを、主人公は深まる冬を前にして、肌で感じているのかもしれません。“離れてみればわかるらしい” はいろんな意味で真理に思えます。「見る・試みる」二重の意味に聞こえるのです。
続きを読む UNICORN『すばらしい日々』散開のモノクローム 共感と独創を両立しつつ、色も姿も鑑賞者が投影できます。モチーフの音程を変えながらリズム形を反復していく手法は西洋音楽っぽいですが、コードの決まり手やメロディの態度はブルージー。これで散開なんて、ちょっと待って…
続きを読む ZARD『負けないで』通じ合った二人の文脈 応援歌、といった表面の印象。精神を鼓舞し合う純(す)んだ愛情が表で、裏面はおどけたジョークの通じる二人のラブソングかもしれません。そんな二面を感じました。
続きを読む ジッタリン・ジン『プレゼント』 贈り物に映る人柄 ちょっとクセのある具体物を歌詞に込めつつも、聴き手それぞれに固有の体験を想起させるのがジッタリン・ジン『プレゼント』の秀逸なところです。メロのほとんどを同じモチーフの反復のみで聴かせてしまえるすぐれたアイディア。
続きを読む 奥田民生 息子 親の祈り、紺碧のあれこれ べっぴんさんにホレられることだけはしっかりやりなさいとは、抽象的に大人の素養を網羅した絶妙な助言では。調をうろつくモヤモヤ感、中間声域を漂うボーカル。あれやこれやがあって、空は紺碧。澄んでもいるし、濁っている。
続きを読む PUFFY『渚にまつわるエトセトラ』 松原ってどこ? 痛快珍奇な歌の世界。固有名詞をつかってありえない世界を描く仙人芸。松原は各地に存在しますが、福岡県にもあるようです。ガザミ(ワタリガニ)が揚がる土地みたいですよ。サビ“カニ食べ行こう”にも合点がいきます。
続きを読む Oasis『Don’t Look Back in Anger』 革命は私室から シンプルかつビターの効いたコードの采配の妙。ひといきに吹くような符割は細かく真似がむつかしくもある。ベッドからはじまるものを思う。何事も、矮小な思念からではないか。そこに感動します。
続きを読む Mr.Children『ニシエヒガシエ』 音楽の仕掛け、攻めの響き 昔から好きな曲でした。あらためてギミックをみてみる。気持ちよく刺さります。精度ある曲ですがユルいパロディモチーフのMVがヘンテコ。ライブではなおテンション高し。音楽、言葉、パフォーマンス各面での攻め曲。
続きを読む ウルフルズ いい女 スロット・フェイスのスリー・コード “長いこと待った甲斐があった”のたった1ラインでふたりの関係の奥行きが見える歌い出し。ザ・シンプルのスリーコードですが回し方がうまい! 小節ごとに違うフェイスです。熱く切実。1拍3連の重みをむしろエネルギーに。オラ感とナヨ感の奇跡の同居。昔から大好きな曲。
続きを読む Tears in Heaven 風の通り道 一体になったボーカルとアコースティックギター。フレットレスベース、ラテンパーカス、オルガンや蛇腹系?、スライドギターの類のアタックが花畑の安息を気遣うかのように逐一やさしい。中間の転調が神々しく遠い。