五月雨 大滝詠一 曲の名義、発表の概要
作詞・作曲:大瀧詠一。大滝詠一のシングル『空飛ぶくじら』(1972)に収録。アルバム『大瀧詠一』(1972)に異バージョンを収録。
大滝詠一 五月雨(シングル・バージョン、『大瀧詠一 乗合馬車(Omnibus) 50th Anniversary Edition』収録)を聴く
よく聴くと、キックが4分打ちになっているのですね。大瀧さんお得意の「音頭」っぽい、ダンスミュージックの精神が包含されているようです。
ベースが1小節動いて、1小節全音符をボーンと置くヴァースのパターンが印象的で、歩いては止まってぼうっと空を見上げて、みたいな登場人物を思わせます。
チキチキとシェーカーがタイトでエッジー。クラヴェス(拍子木)も重要なポジションです。
エレクトリックギターのカッティングがしゃらしゃらミャンミャンと軽やかです。アコースティックギターのカッティングも入ります。アコギとエレキで役割が似ており、複数のギターが五月の空に同居します。
コーラスが左右に開いており、音像をワイドにします。「あめー、あめー!」と合いの手。
エンディングでは「飴売り」登場。金太郎飴を進めて歩いているようです。男児の成長をよろこばしく思いお祝いする「こどもの日」を擁する五月。七五三だったら千歳飴かなとも思います。金太郎飴はどこを切っても金太郎の顔なりなんなり同じ図柄がでてくる飴ですね。人生の安定・安寧、恒常性を肯定する飴が金太郎飴かもしれません。五月雨のなか、大瀧さんみたいな飴売りが出てきたら妖怪めいていてビックリしてしまうかもしれません。
歌詞の文字づかいがちょっと時代特有のエイジング感があり、はっぴいえんどの歌詞を数多書いた松本隆さんのような文字づかいを察することができますが大瀧さん自身による作詞であることも私の注意を引くポイントです。
アルバム収録バージョンが結構違う
ベースのイントロなしにいきなりはじまります。エレキギターのカッティングがトリッキーでちょっと妖怪めいています。シングルバージョンとパターンがそもそも違う感じですね。
バックグラウンドボーカルの飾りが華やかで、たくさん入っている印象です。
そもそもメインボーカルがダブルになっています。主役の描線がそもそも違うので別の曲に聴こえるほどです。
音程のない声で「五月雨」をサイドからささやきます。
エンディングの飴売りは出てきませんでした。クラップ(手拍子)が効いていますね。
青沼詩郎
参考Wikipedia>大瀧詠一 乗合馬車 (Omnibus) 50th Anniversary Edition
『五月雨』のシングルバージョン、異なるバージョンを収録した『大瀧詠一 乗合馬車 (Omnibus) 50th Anniversary Edition』※大滝詠一のアルバム『大瀧詠一』のリイシュー盤。オリジナル発売1972年、50th盤2022年。
ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『五月雨(大滝詠一の曲)ギター弾き語り』)