お嫁サンバ 郷ひろみ 曲の名義、発表の概要
作詞:三浦徳子、作曲:小杉保夫。郷ひろみのシングル、アルバム『PLASTIC GENERATION』(1981)に収録。
郷ひろみ お嫁サンバを聴く(『THE GREATEST HITS OF HIROMI GO』収録)
「笑っていいとも」のコーナーの出囃子に使われていたのでそのイメージが私の中で圧倒的強勢です。一般の応募者が有名人に似ている知り合いや身内を出演させて晒すコーナーでした。出囃子として使われるのは歌い出しの「恋する女は綺麗さ」の部分だけです。ですので曲のそれ以外の部分を全容を私が知ったのは今回がはじめてです。
「あの町この町」の歌詞をリフレインするバックコーラスが気になります。ボーカルは誰でしょう、郷ひろみさんのダブリングではなさそうです。ちょっとクドめの濃ゆい味わいのバックコーラスなのがツボです。
サンバと表題されています。ベースの16分割のウラ(ウラのウラ)拍に装飾的に引っ掛けるストロークはサンバっぽいですね。ドラムスのキックは4つ打ちで、「ウラのウラ」に引っ掛けるいわゆる「サンバキック」のパターンにはしていません。そのかわりといいますかハイハットのシックスティーンが激烈です。イントロの8分音符のさらに3分割で埋める目から火花が飛びそうな目まぐるしいストロークがテクニカルです。
ストリングス、ブラスが絢爛。和声を担うパートとしては、ギターがあまり感じられません。入っていないのでしょうか。クラヴィネットのようなじんわりした音色の「何か」がいる感じもします。
ブラスのキレのよいキメをキックの4つ打ちに乗せる、コーラスの間(ま)がカッコイイですね。
恋する女は綺麗さ 決してお世辞じゃないぜ ため息混じりの頬に ついこの手 のばしたくなる
郷ひろみ『お嫁サンバ』より、作詞:三浦徳子
「お嫁」のモチーフが入っているので披露宴でパフォーマンスしたくなる曲ですが、「ついこの手 のばしたくなる」はちょっと笑えないリスクもあります。もちろん場の雰囲気、パフォーマーの仕草に匂う品性ひとつによっては笑えるネタにもできるかもしれませんが……たとえば花嫁と付き合っていた過去があり今はよき友人関係である……なんて人が出席していてこの曲を出し物としてやったとしたら……ちょっと笑っていいのか笑えるのか紙一重な気がします。
あえて新婦のお父様がこの曲のこの部分をこれ見よがしにパフォーマンスしたら笑いになるかもしれません。娘ばなれしきれない父の「ふり」です。もちろん実際は娘ばなれ出来ていそうだからこそジョークとして通じるでしょう。
1、2、3バ 2、2、3バ お嫁 お嫁 お嫁サンバ
郷ひろみ『お嫁サンバ』より、作詞:三浦徳子
この世で最もしょうもない傑作歌詞フレーズのひとつかもしれません。ごめんなさい、けなす意図はないのですが……こうして字面だけを取り出してはダメですね。「産婆」も想像します。結婚のちょっと先にある未来でしょうか。「産婆」は古すぎる? 私も実態はよく知りません。
勇壮な音楽と歌がカッコいいのです。歌詞は、しょうなければしょうもないほどに良いのです……!!! そうでなければハマらない、キマらない。1、2と来たら3(サン)に決まっています。そこに、破裂音の「バ」です。パンチが効く音韻です。お祭り騒ぎで楽しい場を想起させる舞踊と音楽のスタイル、「サンバ」。
結婚はシンミリしてしまうシーンをともなうこともあるかもしれません。そこにサンバをぶつけることで乗り越えようとする気丈さにグっときませんか。
青沼詩郎
参考Wikipedia>お嫁サンバ PLASTIC GENERATION
『お嫁サンバ』を収録した『THE GREATEST HITS OF HIROMI GO』(1994)
『お嫁サンバ』を収録した郷ひろみのアルバム『PLASTIC GENERATION』(1981)
ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『お嫁サンバ(郷ひろみの曲)ギター弾き語り』)