まえがき

私はbandshijin(ばんどしじん)というソロ音楽ユニットをやっています。オト(発音)で聴くとバンド詩人と綴れます。

そんな看板をかかげてやっていると、「詩人」の単語には敏感になります。

詩人の血というバンドがいたこともいつしか自然に知覚しました。

詩人の血のメンバーが渡辺善太郎さんです。今日の掲題の曲、hitomiさんの『LOVE 2000』を編曲したのが渡辺善太郎さんである、とつながるわけです。

作詞と作曲者の名義にまず目が行きがちですが、実は編曲こそが楽曲の「血」ではないでしょうか。

それくらい楽曲のテクスチャや出自・背景・現在性すべてを物語るのが、編曲が占める範ちゅうだと思うのです。

『LOVE 2000』が発表された年、私は14歳くらいでした。つまり思春期で、その時代にふれたものごと、芸術やエンターテイメントを一生からだと心に刻むといわれる年代だったわけで、私は『LOVE 2000』のリアル世代なのです。

最近Amazonのprime videoでアニメーション『負けヒロインが多すぎる!』を観ました。エンディングに、登場人物の八奈見杏菜に扮した声優の遠野ひかるさんによる歌唱の『LOVE 2000』が使われています。まるでLOVE 2024じゃないですか! ちなみにそのアニメは文芸部員らの青春を主題にしたキラキラなんだかモヤモヤなんだかわからないけど素敵な娯楽作品で、夜な夜な公開中の話をイッキ見してしまいました。映像も綺麗で軽妙なテキストのやりとり、つまり声優さんのお芝居の応酬が特に素晴らしいと思いました。なかでもバス停のシーンの焼塩檸檬役の若山詩音さんの演技に泣きましたね……(ドハマリした私)。映像、ホン(台本)、芝居それぞれがお互いの魅力をブーストしています。

LOVE 2000 hitomi 曲の名義、発表の概要

作詞:hitomi、作曲:鎌田雅人。編曲:渡辺善太郎。hitomiのシングル、アルバム『LOVE LIFE』(2000)に収録。

hitomi LOVE 2000(アルバム『LOVE LIFE』収録)を聴く

イントロのギターリフが名物。ギスっとしたエレキギター、バカスカとドラムが轟くバンドサウンドは私の心の原風景です。渡辺善太郎さんのサウンドを追ってみるとCharaさんの『やさしい気持ち』の編曲も彼のお仕事。きらきらしてはかなくて可憐であやうげ、繊細なバランス感・感性の持ち主でもあるのを感じるので、『LOVE 2000』のバカスカとしたエネルギッシュなサウンドも範疇としているのがちょっと意外でもあり、ふれ幅があると思いました。

バックグラウンドボーカルやブラスで華やかに厚みをもたせ、ハッピーで勢い・活力のある曲想に貢献します。

作詞がhitomiさん自身で、歌唱の緩急のある言葉の乗り方がリズミカルでフックが聴いています。洋楽っぽいといいますか言葉の響きがかもすパワーに対して率直で、音符の緊密の揺らぎが音楽を豊かに響かせます。

こちらが八奈見杏菜(CV:遠野ひかる)さんによるLOVE 2024……じゃなくてLOVE 2000ですね。原曲サウンドのトレース(映しとり)が非常に丁寧でしっくりきます。発声の細部が緻密でシルキー、聴き心地がよいです。サビの高音への移ろいが儚くてスムースで気持ちよい。素敵でハッピーなカバーです。

青沼詩郎

参考Wikipedia>LOVE 2000 (hitomiの曲)

参考歌詞サイト 歌ネット>LOVE 2000

hitomi 公式サイトへのリンク

アニメ『負けヒロインが多すぎる!』公式サイトへのリンク

『LOVE 2000』を収録したhitomiのアルバム『LOVE LIFE』(2000)

アニメ『負けヒロインが多すぎる!』第6話。作中9:40〜11:40頃、自伝に近い童話の構想を話す焼塩檸檬。自前の童話と現実の差異を印象づける感情の演技がせつない。

ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『LOVE 2000(hitomiの曲)ギター弾き語り』)