Tell Me Why The Beatles 曲の名義、発表の概要

作詞・作曲:Lennon-McCartney。The Beatlesのアルバム『A Hard Day’s Night』(1964)に収録。

The Beatles Tell Me Whyを聴く

酒場で演奏しているような独特の響きがあります。ピアノのせいでしょうかね。響きががあります。ポーン、ポーンと、食っている(シンコペーションしている)のかいないのかギリギリののんびりとしたタイム感があるピアノのストローク。激しくて勢いのある曲調にも思えるのですが、各パートの重なりあい、合わさり方に注意して聴いていると案外おちついて、平和に演奏している印象を受けます。ピアノはやはりジョージ・マーティンの演奏とのこと。

それはそうと達者なドラムスが聴いていて快調です。ハイハットのラウドな鳴りは最好のバランスです。私の理想的なドラムサウンドのひとつです。キック、タム、スネア、シンバルの類全体の響きでドラムセットという一個の楽器という。

左にドラムとベースが寄っていて、右にピアノ。リードボーカルがジョンで、ハーモニーパートのボーカルもジョンが複数重ねていると『ビートルズを聴こう – 公式録音全213曲完全ガイド (中公文庫、2015年)』は書いています。言葉の尻とか精緻というよりは勢い重視でラフでバラつきがある重なり方をしているところもあるようでそういうラフさが聴き味でもあります。“Is there anything I can do”のラインなどがふわっとして不明瞭なところ承知で気分高揚する趣があります。ファルセットみたいにして上の音域に飛び出す歌唱が器用でもあり、勢いのある楽曲に個性的な特徴をあたえています。コード進行なんかもすごくシンプルなのでこういうハミ出しが良い緩急を音楽にあたえてくれます。

ヴァースの頭のところなど、ちょっとしたブルージーな低い3度(ⅲ)音のリードボーカルの音程……つまりブルーノートもシンプルなコード進行のベーシックの上でリードボーカルをメロディアスで聞き応えのあるものにしています。

こういうのをさらっと作った……か知らないけどそう思わせる勢いと気の利かせ方、特徴の持たせ方を含ませてバンとバンドの音にしちゃう。「なぜか教えろ」と直訳できそうな主題ですが……強く問う語気がステレオの外まで飛んできて、上にはみだすような高揚するボーカルが清涼にひびきます。

青沼詩郎

参考Wikipedia>テル・ミー・ホワイ (ビートルズの曲)

参考歌詞サイト KKBOX>Tell Me Why

『Tell Me Why』を収録したThe Beatlesのアルバム『A Hard Day’s Night』(1964)

参考書

ビートルズを聴こう – 公式録音全213曲完全ガイド (中公文庫、2015年)

ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『Tell Me Why(The Beatlesの曲)ウクレレ弾き語り』)