グッド・タイム・ミュージック 斉藤哲夫 曲の名義、発表の概要

作詞・作曲:斉藤哲夫、編曲:編曲:瀬尾一三。斉藤哲夫のシングル、アルバム『グッド・タイム・ミュージック』(1974)に収録。

斉藤哲夫 グッド・タイム・ミュージックを聴く

QUEENがはじまった! アカペラのオープニング。かとおもいきや、弾むダウンビートのピアノストロークで景色が一変。なんだかポール・マッカートニーっぽい愛嬌を感じます。

ピアノのダウンストロークは軽快に運ぶ印象なのですが、ドラムのビートがハーフテンポ的というのか、あるいは1拍を6分割した2拍子系みたいなフィーリングを覚えます。

斉藤哲夫さんの声はポジションが高いですね。自由に上に上にひらひらと舞い突き抜けていきます。ポルタメント、語末のフラットするニュアンスに粘度があり、軽やかな声質と相まって斉藤さんの独特の歌唱の印象をなしています。

ドラムの質量感がリッチでタムに迫力があります。ピアノとベースの動きの組み合わさった感じが私にポールマッカートニーっぽいと思わせるのかどうか。ストリングスの豪勢な印象はビートルズの中後期くらいを思わせます。

斉藤哲夫さんの『グッド・タイム・ミュージック』、編曲が瀬尾一三さんなのですね。意識されたのか、せずともなのか。私がやたらビートルズを意識しすぎているだけでしょうか。

声のトラック。木管系のリードの音色。織り重なり、昇降するストリングス。全部入りで華やかな、この時点での人生の結論を全力でつきつけたような力量と気概を感じます。

いつになく 心沈んでる ふさぎがち うす曇り空 君に グッド・タイム・ミュージック 心の中まで グッド・タイム・ミュージック 洗い流してくれる あの歌

『グッド・タイム・ミュージック』より、作詞:斉藤哲夫

音楽グループの作品のように、主題のフレーズ“グッド・タイム・ミュージック”を複数のボーカルパートで補完しあいます。

ずばり音楽、歌が主題なのが歌詞の字面からも伝わります。

その日暮らしの バイオリン弾きの 悲しいミュージック あなたの精一杯の 人生の歌を 聴かせて

『グッド・タイム・ミュージック』より、作詞:斉藤哲夫

歌詞”悲しいミュージック”のところで、音楽も同主短調へ。ピアノのダウンストロークが目立ち、ストリングスが人の声のような音域でブルージーに歌います。“精一杯の…”の歌詞のところで歌唱の魂の量も滾ります。コーラスがシックス、メジャーセブンスの音程をうろついては元の和声音に解決。わたしには音楽しかない…いえ、わたしには音楽がある。主人公の想いが流れ込んできます。

街中の賑やかさ消えて ものみな淋しく 眠りに入れば グッド・タイム・ミュージック うすい一つの光が グッド・タイム・ミュージック 心に灯をともしてくれる あの歌がある

『グッド・タイム・ミュージック』より、作詞:斉藤哲夫

目をとじて音楽に浸れば心の安息と自分だけの世界に入れます。音楽がくれる希望を言葉にし、愛する音楽で再抽出します。

“ものみな”という語彙は私個人としては初めて知った言い回しで勉強になりました。

”あの歌がある”のところで地平がどんどんひらたく広くなっていくような、新しい和声展開と豪快なボーカルの動きでハイライトをなし、恒常に永遠に続く主題”グッド・タイム・ミュージック”のリフレインでフェードアウトのエンディングに接合していきます。

音楽に救われる感謝に酬いる仕事を音楽でしてみたいと私も思います。

斉藤哲夫さんを象徴する力作・代表作といえそうです。

青沼詩郎

参考Wikipedia > 斉藤哲夫

参考歌詞サイト 歌ネット > グッド・タイム・ミュージック

斉藤哲夫 公式サイトへのリンク

『グッド・タイム・ミュージック』を収録した斉藤哲夫のアルバム『グッド・タイム・ミュージック』(1974)

ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『グッド・タイム・ミュージック(斉藤哲夫の曲)ピアノ弾き語りとハーモニカ』)