希望 フォー・セインツ 曲の名義、発表の概要

作詞:藤田敏雄、作曲:いずみたく。フォー・セインツのシングル(1969)。岸洋子も歌った(シングル:1970)。

フォー・セインツ 希望(『フォー・セインツ ALL TIME BEST』2015年収録)を聴く

リリース当初のバージョンの編曲は渋谷毅さんのようですが現在(執筆時:2024年10月)サブスクで簡単に聴ける音源は新録バージョンのようで編曲者は宮澤謙さんのようです。“2006年に活動を再開した彼らが2015年にリリースするアルバム”(引用元、参考タワーレコードサイトへのリンク)とのことです。なるほど、ベテラン(の齢?)になってからの再結成してのレコーディングのようです。彼らのことを“カレッジ・ポップス・グループの草分け的存在”と評しています。このテのジャンルの音楽といえばほかになんでしょう。ザ・リガニーズとかになるのでしょうか。私の大好物のグループ・サウンズともまた微妙に流れが違うのかもしれません。ひょっとするとザ・フォーク・クルセダーズもカレッジ・ポップスと分類できないこともないのかな? そういう(どういう)ジャンルだと自分を腑に落ちさせておこうか……

フォークっぽい曲調やサウンドをバンド形式で奏で、大衆がともに歌いやすそうな秩序と落ち着きのあるメロディを柔和に哀愁込めて抒情たっぷりに歌う……そういう音楽がカレッジ・ポップスとかカレッジ・フォークでしょうか。そうやって自分のなかで仮の答えを考えてみると、森山良子さんもカレッジ・フォークなどと呼ばれる向きがあるような気がします。

この曲はWikipediaをみるに“元々は倍賞千恵子のミュージカルのために作られた曲である”引用元、参考Wikipedia>希望 (岸洋子の曲))とあります。そんな出自を持つが、最初の実演家として円盤リリースするのは倍賞千恵子さんでなくフォー・セインツで、さらにそのあと岸洋子さんバージョンのリリースに至る、という順序でしょうか。なかなかフクザツ(でもないけど)かもです。

『いい日旅立ち』みたいな、谷村新司さん的な哀愁の世界をプンプン感じます。悲哀の念に心をしなしなにされてしまう感じがします。リードボーカルの哀しげなことよ。落ち着きのある歌唱が感情を内に秘めていて、剥き出しにされるよりかえって深く引き込まれてしまいます。こんこんと降り注ぐビブラフォンが福音。中盤にかけてストリングスが朗々と歌い、カウンターメロディをします。カウンターにハーモニカっぽいリード系の音色もあらわれます。オルガンなのか、蛇腹系楽器なのか。リードボーカルに帯同する字ハモメロディが甘美でこれまたうるうるの情感を私の中に引き出します。

私の敬愛するいずみたくメロディ。最近聴いていなかったので久しぶりに彼の作曲を聴きたくなって、リストの中でふと意識にふれたのがこの曲でした。秋ふかまる季節にそう物悲しさがあります。

2015年のより前の昔の当初の音源はまただいぶ違うのかもしれません。聴いてみたいですね。

青沼詩郎

参考歌詞サイト 歌ネット>希望

フォー・セインツ ユニバーサルミュージックサイトへのリンク

『希望』を収録した『フォー・セインツ ALL TIME BEST』(2015)