おやすみ 遠藤賢司 曲の名義、発表の概要など
作詞・作曲:遠藤賢司。遠藤賢司のアルバム『満足できるかな』(1971)に収録。
遠藤賢司 おやすみ(アルバム『満足できるかな』収録)を聴く
やさしげです。対象に語りかける愛情をいっぱい感じます。まなざしがやわらかい。
遠藤さんは愛猫家だったと聞きます。猫にやる愛のまなざしであると同時に、ほかの「君」がいるかもしれません。君へのおやすみでもあり、首の長いかわいい猫へのおやすみでもあり、リスナーへのおやすみでもあるのです。
声が軽やかです。眠る前に聴いておだやかになれる声。
遠藤さんの振れ幅にはまいってしまいますね。こんなにやわらかいラブソングを囁いたかと思えば、ゴリゴリの硬質なサウンドで叫びあげるロックもやる。つくづく幅の広い方です。
京都音楽博覧会2010に出演した際の、私の記憶に残る遠藤さんの姿を思い出しました(参考リンク 京都音楽博覧会 音博アーカイブ)。ステージで、独りであるにもかかわらず、ドラムを叩きまわっていたように記憶しています。叩いた、よりも叩きまわったと表現したくなる、そんな「動」のイメージがあったのを思い出します。
その動のイメージとは実に対照的な、おだやかな愛の歌が『おやすみ』です。
柔和なフィンガーピッキングとおもわれるアコギのアルペジオプレイ。スリーフィンガー奏法でしょうか。プリングオフやハンマリングなどで装飾音をつけて、おだやかであれど情感豊かに歌うギターです。口笛がのっかって、残響感が寂しく空間に解けて輪郭の端っこが消えていき、鑑賞者の私も眠りに落ちてしまいそう。
青沼詩郎
リンク
『おやすみ』を収録した遠藤賢司のアルバム『満足できるかな』(1971)
ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『おやすみ(遠藤賢司の曲) ギター弾き語り』)