おさかな天国 柴矢裕美 曲の名義、発表の概要

作詞:井上輝彦、作曲:柴矢俊彦、編曲:石上智明。柴矢裕美が歌った全国漁業協同組合連合会(JF全漁連)中央シーフードセンターキャンペーンソング(1991)。1991年にカセットテープで配布・通販される。1996年に通販向け、2002年に市販向けのCDが発売される。(出典Wikipedia>おさかな天国

柴矢裕美 おさかな天国(『決定盤 みんなで歌おう!こどものうたベスト』収録)を聴く

サビの印象が強いです。2コーラス目のサビのち、2回繰り返しがある……つまり、合計3回のサビをその場で続ける構成になっているからでしょう。演奏時間2分10秒頃から2コーラス目のサビに入り、そのまま演奏時間の終わりである4分を超えるエンディングの“Oh!”までずっとサビの繰り返しです。

これがスーパーの鮮魚コーナーやらでエンドレスリピートで流れるわけです。

演奏時間の後半のほとんどを占めるサビ。もちろん1コーラス目にもサビは当然含まれているので、曲の大半がサビなわけです。

サビの前半 ア行タコ殴りライン

0分45秒〜1分11秒くらいまでのおよそ26秒、“サカナ サカナ サカナ”を中心としたリフレインが印象的なブロック。“サカナ”の部分は“アタマ アタマ アタマ”に変わり、ア行の強烈な押韻のタコ殴りです。

『おさかな天国』サビはじまりのモチーフ。タコ殴りのア行同音連打。

サビの後半 跳躍のある雄弁なメロディ

1分11秒〜1分25秒くらいまでのおよそ14秒の“さあさ みんなでサカナを食べよう サカナはぼくらを待っている”が、直前のア行タコ殴りの愚直なまでのたたみかけるリズムに対比する、跳躍を含めて雄弁で動きのある華やかなメロディーになっておりバランスが良好です。

『おさかな天国』サビの折り返しモチーフ。跳躍音程で水深を機敏に往来。活きいきしています。

サビまとめ サビ62パーセント

前半約26秒、後半約14秒のパーツが合わさって40秒ほど。これがサビ1個のステム(株、あるいは束のような観念)になっているのですね。1コーラス目のサビと2コーラス目のサビとエンディングまでの繰り返しのサビ合わせて、1曲中で4回サビのステムが披露されるわけです。単純計算で40秒×4回で160秒。2分40秒くらいはサビをやっているのです。サビだけで短い歌謡曲1曲ぶんくらいのサイズやん。そりゃ、サビの記憶がほとんどを占めるわけですタイ。

曲のサイズが4分17秒。つまり257秒ですから、160秒(サビ尺の概算)/257秒(曲の全体サイズ)=およそ0.623。つまり『おさかな天国』では全体の62%くらいサビをやっているのです。

歌詞のツラ構え

好きだとイワシてサヨリちゃん

タイしたもんだよスズキくん

イカした君たちみならって

ぼくもカレイに変身するよ

『おさかな天国』より、作詞:井上輝彦

サビの印象が強いのでエーメロを今回聴いてちゃんと認識しました。

好きだと言わして……大したもんだよ……いかした君たち……華麗に変身……

と、普通の文章のなかに迷彩色のように魚介類の名前を忍ばせます……忍べてない?

サンマ ホタテ ニシン

キス エビ タコ

マグロ イクラ アナゴ シマアジ

『おさかな天国』より、作詞:井上輝彦

ビーメロはもはや忍ばせる文構を潔く放棄し、魚介類の名前をあげ放題。リズムのキメが入って、くだんのサビがびちびちとほとばしるようにやってきます。

サウンドのツラ構え

柴矢裕美さんのまっすぐな発声が印象的です。キャンペーンソングとして、サカナの主題を食ってしまわない(邪魔しない)たんぱくな味わいのボーカルが素晴らしい。「サカナを食べよう」と歌っているわりには、主役を食わない(主題を立てる)歌唱なのです‼︎(しつこい?)

くり返しの多い後半のサビにサウンドの変化があります。

繰り返し1……柴矢裕美さんのリードボーカルに、男声or児童の声が交互に加わる。

繰り返し2……柴矢裕美さんのリードボーカルに、男声も児童の声も加わってシンガロング。

じわる変化ですが、おなじラインの繰り返しのなかにも、サウンドの熱量、情報量、質感の込み入り具合をエンディングに向けて華やかさが増して行く工夫が感じられます。

オケのサウンドはプログラミング的な「内部系」っぽい音の印象。そんななか、アコギのプレイが私の耳をひきます。ギター類は人間の生演奏を収録している感じがします。アコギのコードストラミングが左右にそれぞれ違うトラックがダブってあって、発音のニュアンスがばらけて豊かに聴こえるのです。

サウンド的には「平ら」な印象の『おさかな天国』のなか、ギター類の演奏に人間の手さばきが感じられて好きな部分です。また、繰り返しになりますが、あえての「平ら」な印象?の柴矢裕美さんのリードボーカルがかえってクセになります。こちらの気分がわさび醤油でも、オリーブオイル+塩レモンのカルパッチョでも沿ってくれて、素材の良さで映えてくれます。サカナ食べる気分になりますね。

青沼詩郎

参考Wikipedia>おさかな天国

参考歌詞サイト 歌ネット>おさかな天国

参考Wikipedia>井上輝彦 (作詞家)

参考Wikipedia>柴矢俊彦

JF全漁連 ウェブサイトへのリンク

「JF」とは、Japan Fisheries Co-operativeの略で、日本の漁業協同組合(漁協)を意味します”(JF全漁連について より引用)とのこと。「漁協」といわれれば耳に馴染みがある感じです。

柴矢裕美のシングル『おさかな天国』(2002年版CD)。

『おさかな天国』を収録したコンピ『決定盤 みんなで歌おう!こどものうたベスト』(2016)

ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『おさかな天国(柴矢裕美が歌ったJF全漁連中央シーフードセンターキャンペーンソング)ウクレレ弾き語りとハーモニカ』)