待ちぼうけ 井上陽水 曲の名義、発表の概要

作詞・作曲:井上陽水・忌野清志郎。井上陽水のアルバム『氷の世界』(1973)に収録。

井上陽水 待ちぼうけ(アルバム『氷の世界』収録)を聴く

陽水さんのアルバム『氷の世界』に収録された忌野清志郎さんとの共作曲といえば『帰れない二人』ですが、こちら『待ちぼうけ』もお二人の名義。おや?と思い検索してみると(参考リンク:オリコンニュース>井上陽水『名盤『氷の世界』を“解凍” 自身が語る制作舞台裏!!』)やはり『帰れない二人』を作っていたときに、同じ機会に生まれたのがこちら『待ちぼうけ』だそうな。

1拍3分割、トリプレットの猛烈なビート。ララララララ……のスキャットが猛烈です。舌がもつれるよ! ドラムの駆け込む臨場感。ベン・フォールズの『Zak And Sara』などいう楽曲が私個人の記憶の引き出しから顔を出します。シャッフルビートといおうか。

ベースが強拍を押し出しぐんぐん足並みを動かします。右にアコギのリズムとエレキのリズムが交互に顔を出す。ピアノが例のラララ……ばりのトリプレット同音連打を再現。絢爛な響きです。

中盤〜後半には井上陽水さんの声でハーモニーとカウンターが入ってきます。単旋律でじゅうぶん悩ましい井上さんのうるおった質感に富む歌声ですがこれがオーバーダビングで折り重なるともう悩ましさ乗数倍。ため息に含まれる水分だけであたり一面びしゃびしゃになる幻覚がするほどです。

歌詞もやっぱりおかしみ。こんにちはという隣の人にはこんにちはと返せばいいものを、さようならとドアを閉めるそう。私が隣の人だったら「なんだよ……(こんにちはくらい返してくれよ)」と思います。ただ、主語が省略されているのでこの情景の解釈には幅があるかもしれません。隣のヒトがひとりでにこんにちはとさようならの両方を演じたのかもしれないしね。

マジックパズルが引っかかります。検索してしまいました。ジグソーパズルの類と思っていいのか。あるいは知恵の輪系のパズルのことを表現するのか。これも情景の抽出に幅をもたらすあいまいなものいいです。

あいまいがいいんです。こいつ(失礼しました)何言ってんだ? っていうハテナが、井上陽水さん作品の気持ちよさなのですから。

青沼詩郎

参考Wikipedia>氷の世界 (アルバム)

参考歌詞サイト 歌ネット>氷の世界

井上陽水 公式サイトへのリンク

『待ちぼうけ』を収録した井上陽水のアルバム『氷の世界』(1973)

ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『待ちぼうけ(井上陽水の曲)ギター弾き語り』)