まえがき
サザンの曲の多くは、どこで初めて認知したかわからないけれどとにかくなんか聴いたことあるものが多い、という方は私以外にも多いのではないでしょうか。 「泣かないで」という歌詞とともに弱起の上行音形で歌いだすサビが印象的でつよつよ。
アルバム『Young Love』収録で、そのジャケットがコラージュみたいでよく見るとそれぞれにつっこみどころが満載で意図が気になる画面は実際それぞれにオマージュ元があるそう。文脈が深く交雑したジャケットの意匠が、フルボリュームで雑多で豊かなアルバムのサウンドに表れている/アルバムのサウンドを適確に表現します。
あなただけを 〜Summer Heartbreak〜 サザンオールスターズ 曲の名義、発表の概要
作詞・作曲:桑田佳祐。サザンオールスターズのシングル(1995)、アルバム『Young Love』(1996)に収録。
サザンオールスターズ あなただけを 〜Summer Heartbreak〜を聴く
最初から最後まで満たされ感。しいていえばヴァースでリズムがハーフテンポみたくなるので熱量の起伏を表現します。
ボーカルの質感の哀愁がキュンときます。バックグラウンドボーカルのまっすぐな描線がリードボーカルの質感を際立たせます。
管楽器のトーンとか、ベースのトーンとかもまっすぐな印象で、音の描線にぶれがなく、太さや密度が安定しています。プログラミングでいれた音と生演奏の区別が良い意味でつかないし、つける必要もないという感じがします。
情報量、質感満載なのですがコリン、チロンとオルゴールかトイピアノみたいな音色がかわいくさびしそうに光るのです。この対比にまた胸キュン。かとおもえばたびたび、絢爛優美なハープのグリッサンドがリスナーの耳を横断します。
無心にタイトなリズムをはんこを並べていく左側のエレキギターのカッティングがほほえましい。良い仕事にニヤリとしてしまいます。ベースもドラムもまっすぐで精緻、一糸乱れぬとはこのこと。
キーボードやプログラミングでいれているのか生音なのか、ブラスのサウンドなど前のほうにいて乾いていて輪郭が明瞭な音もあれば、ドラムのフロアタムみたいな余韻が深い音もあって、そのサウンドはまるでフィル・スペクターのウォール・オブ・サウンド、ロネッツのビー・マイ・ベイビーです。大サビのところではいかにもなリズムパターンが出てきますね。タンバリンもきらめきとリッチな響きを演出します、これだよ、ポップミュージックとは。
大衆の娯楽(エンターテイメント)音楽であることに自覚的な作詞に愛と哀愁を感じます。歌詞なんてこんなもんでいいんだよ、でも気が利いてるだろ? って言われている気がして、一緒にイヒヒッと笑ってくれるような、そんな。作り手が享受者(あなた)に寄せる愛こそがサザンの「光」の面じゃないかな。
青沼詩郎
参考Wikipedia>あなただけを 〜Summer Heartbreak〜
参考歌詞サイト 歌ネット>あなただけを 〜Summer Heartbreak〜
『あなただけを 〜Summer Heartbreak〜』を収録したサザンオールスターズのアルバム『Young Love』(1996)
ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『あなただけを 〜Summer Heartbreak〜(サザンオールスターズ』)