まえがき
エレクトリックピアノを中心にしたシンプルなトリオのベーシックにゲストボーカルが空間をみずみずしく豊かに彩る原曲。
You Are the Sunshine of My Life Stevie Wonder 曲の名義、発表の概要
作詞・作曲:Stevie Wonder。Stevie Wonderのアルバム『Talking Book』(1972)に収録。シングルカット(1973)。
Stevie Wonder You Are the Sunshine of My Lifeを聴く
とろけるような甘い音色のエレクトリックピアノ。“heaven”という歌詞を唱えるところでおどけるかのような声色できわめて低い音域までさがり、和音も突然マイナーなブルージーなフィールにさまがわり。
Bメージャー調で紡ぎますが、“And if I”……と歌うところに入るとき短3度下のG#(A♭)調におもむろに転調。そして上記の突然なブルージーな、おどろおどろしい表情をみせたかとおもえばツー・ファイブで元調にもどっていく。揺らぎ、うつろう人間の気分、あるいは雲など気象条件によって見え方が千変万化する陽光を音楽の機能、骨子すべてを有機的に連携させて表現させるソングライティング、演奏が絶妙です。
風とおしの良いサウンドが特筆。エレピ、コンガ、ベースのトリオが基盤になっています。ドラムはスティーヴィーのオーバーダビングでしょうか。風通しのよさを確保する秘訣のひとつは、スネアのオープンショットをほとんど打っていない点もあるでしょ。ザリ、バシ!などと低域から高域まで、不必要にほかのパートをマスクすることがありません。エンディングでフェードアウトがかかり始めてからようやく興奮極まったかのようにスネアのオープンショットが聴こえだしますがもはや後の宴。後半のキックの密度などは入れすぎだ!というくらいに情熱的です。絶対落とす!というような鼻息の荒さすら覚えますがスムースでマイルドでドライな音像なのでいくら情熱的になっても人を傷つけることがありません、なんて感想をくれるドラムパート。
バックシンガーを3人むかえいれているようすで、声色やリズム形などが多彩で、風通しのよい余白のちゃんとある空間をつかって、快適に、品よく、しかし楽しげにバックグラウンドのボーカルが短く息を切ったりうわ!っと壁のように広がったりしてまるで自分の視界の解像度があがったかのような爽快さをくれます。
もろもろの音の景色の揺らぎ、押し引き、緩急が気まぐれな“Sunshine”そのもの。堪能です。
青沼詩郎
参考Wikipedia>サンシャイン (スティーヴィー・ワンダーの曲)
参考歌詞サイト KKBOX>サンシャイン・オブ・マイ・ライフ – Album Version
『You Are the Sunshine of My Life』を収録したStevie Wonderのアルバム『Talking Book』(1972)