まえがき

スケールの大きさを感じさせるコードとベースのどっしり感と安定感、堂々とした演奏が宇宙の惑星の運動のよう。雄大な大まかなで緩慢なリズムで漂うように動くサビのボーカルメロディが印象的です。変幻自在なシンセサイザーのサウンドも華で原曲のききどころ。タイアップの『宇宙兄弟』を見事に表現した爽快さ。

Feel So Moon UNICORN ユニコーン 曲の名義、発表の概要

作詞:奥田民生、作曲:阿部義晴。ユニコーンのシングル(2012)、アルバム『イーガジャケジョロ』(2014)に収録。アニメ『宇宙兄弟』主題歌。

UNICORN ユニコーン Feel So Moonを聴く

バンドの器の大きさ、バイタリティ、好奇心、遊び心、ノウハウ、すべてが素晴らしい。今更でほんとスミマセンなんですがユニコーンのバンドの素晴らしさに改めて心打たれます。私が漫画の原作者だったら泣きますこれ。原作者じゃないのに泣きました。

何かがはじまるわくわくあふれるシンセサイザーの猛烈に直線的なエイトビートのイントロ。そう、駆けていく足並み、そのピッチの忙しさ。テンポが快活です。おしりに火がついたみたいにバッシャンバッシャン鳴るシンバル類のオープンなサウンドも、緻密に整列したライドシンバルのエイトの刻みも気持ちが良いです。

リードボーカルに聴いたディレイのお化粧が精密。テクスチャがタイムととも変化するところが未知への挑戦状を突きつける科学の血潮感があって最高。左に寄ったギターが躍動します。バンド全体の音の情報量のメリハリが良い。メロでは情報量を抑えて、サビでストリングスが厚く広がります。怖いし命懸けの挑戦なのに特大の背中の安心感があります。チェロパートがずうんとアルコをまっすぐに引っ張って、ベースのサスティンを壮大に補強します。天空には成層圏かよというヴァイオリンが弧を描きます。中声部にはあいつ(ヴィオラ)もいるはず。弦カル編成のアレンジで各パートの奏者を倍にした人数のサウンドが込められているようです、このストリングスの生サウンド。

熱量とスピードのテクスチャに乗って、サビで2分音符をひたすらにならべてふわふわとなだらかにおおらかに浮遊するリードボーカルにトロけます。

「宇宙人」とクレジットされるのはシンセパートにくくるべきか、ボコーダーか何かでしょうか。ワウペダルっぽいキャラクターは口腔の形によるものか。あるいはトークボックス(一般に、エレキギターに使うエフェクター)にシンセを突っ込んだのかなんなのか。宇宙人にしては流暢に地球語の何かをしゃべっている感じがします。間奏を、リードギターがスポットライトを奪うとかではない方法で情景の移ろい、景色の段階的・無段階の移ろいをバンド全体(と宇宙人)で描きます。

エンディングのリタルダンド、最後の和音を放って、伸ばして、バシっとしめる。バンドでベーシックを1発録音しているのでしょうか。どんな地球規模のプロジェクトも最後はクルーの一挙手一投足が司るスリルを思わせます。

再始動前のユニコーンとも違う、この時期のユニコーンだからこそのはたらきぶりが美しいです。

青沼詩郎

参考Wikipedia>Feel So Moon

参考歌詞サイト 歌ネット>Feel So Moon

ユニコーン 公式サイトへのリンク

宇宙兄弟 公式サイトへのリンク 2025年7月末時点で既刊45巻。次巻で完結とのこと!

『Feel So Moon』を収録したユニコーンのアルバム『イーガジャケジョロ』(2014)

ユニコーンの『Feel So Moon』(2012)。コミックサイズの装いの豪華シングル。

ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『【寸評つき】宇宙兄弟を表現する主題歌 Feel So Moon(UNICORN ユニコーンの曲)ギター弾き語り』)