まえがき
のんびりとしたシャッフルのビート、スティールギターのアーチの醸す極上な浮遊感、ピアノの悠久な響き、寛容で優しいスネアのサウンドに質感に富むニールのボーカル。普遍的な編成のベーシックとボーカルで着実な収穫の恩恵を描きます。
Harvest Neil Young 曲の名義、発表の概要
作詞・作曲:Neil Young。Neil Youngのアルバム『Harvest』(1972)に収録。
Neil Young Harvest(アルバム『Harvest』収録)を聴く
独特の引っかかったようなざらっとした質感もあるような気もするのですが、やはりニール・ヤングの歌はなめらか。鼻腔の響きなのか、独特の浮力があるのが魅力です。夜っぽい。なんだかそう思います。
右寄りにピアノとアコギ。ちゃきちゃきっとした響きのアコギストラミング。ピアノはヘッドフォンで聴くと意外とズンと低域の質量感があり豊かです。イントロからちょっと2度でぶつかったような印象的な響きを用いているのがシンプルな曲想ながらにフックになっています。
タスっとしたしまりのあるスネアのサウンドがやさしい。シンバル類は終始、寡黙を極めます。唐突であっさりとしたエンディングに、スティックのティップでツィーン……とライド1発。これでいいんだよ。たった1発の実りに経過も歴史も全部込めることができるのです。
ベースのシンプルながらも音の切れ目にまで心の行き届いた描線が魅力です。3分割の動きを織り交ぜて緩急を与えます。
スティールギターのバランス感が絶妙に耽美です。曲の中間あたりでちょっと長めの歌詞の「間」がある。そこをソロギターみたいに埋めたりしないんです。ただただ、夜のしじまをグラスを傾けて噛み締めているみたいに小さく鳥が遠くで鳴くみたいにやさしく輪に参加している。それだけで心は3°あったかくなるんだと思わせます。
青沼詩郎
Neil Young / ニール・ヤング | Warner Music Japanへのリンク アルバム『Talkin To The Trees / トーキン・トゥ・ザ・トゥリーズ』がNeil Young and the Chrome Hearts名義で2025.6.13(国内盤は7.23)にリリース。
ニール・ヤングのアルバム『Harvest』(1972)
ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『【寸評つき】因果応報の実り Harvest(Neil Youngの曲)ピアノ弾き語り』)