まえがき

恒常的なドラムとベースがどこまでも続く線路のようで「夕暮れ」の永続を象徴するかのようです。アコギのストラミングのしゃわしゃわとしたしっぽりとした印象に、要所のズキューンとハイゲインなエレキギターがアクセント。ザ・ブルーハーツの曲はユーザー側も歌いたくなります。メロディとコードの調和した関係だったり、メロディのペンタトニック(5音音階)あるいは7音の長音階のバランス感だったりが彼らのメロディの魅力の一因なのかもしれません。

夕暮れ THE BLUE HEARTS 曲の名義、発表の概要

作詞・作曲:甲本ヒロト。THE BLUE HEARTSのシングル、アルバム『DUG OUT』(1993)に収録

THE BLUE HEARTS 夕暮れ(アルバム『DUG OUT』CD収録)を聴く

サブスクにないので円盤、ダウンロード購入などでぜひお聴きください。

幸せ。人生。漠然としたでかい観念のようでいて、儚く一瞬で短い観念のようでもあります。そんな真のテーマが主題の「夕暮れ」の情景の奥に見えていて、こちらに手を振ってアイコンタクトしているみたいです。

ボーカルのメロディが人生や幸せ、個人のバイオリズムの起伏みたいに豊かに上下に動きつづけます。シンプルな8分割のビートで、とぼとぼとしかし確実に一歩ずつ毎日を往く足並みのようです。

恒常的にしゃらしゃら鳴るアコギも正直で素直でありながら、要所でエモーションを煽るようにストラミングの熱量をみせます。

2拍目や3拍目裏を強調するエレキギターが空間にほどよく杭を打っていきます。身近な公園の植え込みかな。途中からトントントン……とブリッジミュートのエレキギターが入ってきて、そうすると今度は反対の定位から同様のリズム系のエレキギターがあらわれて、なんだか人生って小さな幸せに何度も再会を繰り返しながら、情と無情を悟っていくのじゃないかという気にさせます。

熱く湧き上がるオルガンは個人の浮き沈みと恒常をひたすら見守りつづける、夕暮れのあかりと地平にへばりつく闇の象徴みたいに空間を埋めます。足元からも幸せは無限に掬えるるんだぜ。そんな気にさせます。

青沼詩郎

参考Wikipedia>夕暮れ (THE BLUE HEARTSの曲)DUG OUT

参考歌詞サイト 歌ネット>夕暮れ

THE BLUE HEARTS ワーナーミュージック・ジャパンサイトへのリンク

『夕暮れ』を収録したTHE BLUE HEARTSのアルバム『DUG OUT』(1993)

ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『【寸評つき】 夕暮れ(The Blue Heartsの曲)ウクレレ弾き語りとハーモニカ』)