まえがき

海、山、川、森で出会う印象的な猛獣たちも敬い、従う「すごい男」の描写がおかしみ。1番から4番までかけてシチュエーションと動物のバリエーションを描いていきます。 歌唱の声質、ぎらつき脂がほとばしるようなパンチで圧倒するのは柳ジョージさん・三好鉄生さん両者に通ずるフィールでしょうか。

マイナーの曲調にハネたビート、カウンターにいる人もテーブルにいる人も取り残さない着実なテンポ感は酒をモチーフにしたり印象付けたりテーマとして扱う楽曲の「これぞ」的王道あるいは定番と感じるのは、ひとつはこの楽曲が世に与えたインパクトも貢献しているのかもしれません。お酒のCMってこんな感じの曲が合うよな、というなんとなくのあるある感よ。そんな、お酒のCMソングに寄せる私の中のイメージの中央値の観念(偏見)はそれとして、『すごい男の唄』にははじけるエネルギーと哀愁が同居しています。情熱的で行動力あるオトコを想起させますね。 もともと靴なんか履きやしない野生動物の描写に“熊が裸足で逃げて行く”は非常にニヤリとさせます。

すごい男の唄 曲の名義、発表の概要

作詞:仲畑貴志、作曲:服部克久。1987年、柳ジョージ歌唱によるサントリービール『純生』CMソング。コンピレーション『服部克久の世界〜works』(2009)に収録。三好鉄生の歌唱・彼名義によるシングル(1987)がある。

三好鉄生のすごい男の唄(『三好鉄生BEST』収録2017年リマスター)を聴く

腹の底にちからの入った、いえ、力をたくわえた安定感の権化のような歌唱。コブシがあります。enkaソウルとでもいうのか。こうでなくちゃ、うまい酒もショゲちまうぜ。

「そこまで飲もう」というフレーズ、オトだけで聴いていたときに気になっていました。そこに着くまで飲もう、ということなのか? はしご酒的なことを言っているのだろうか。朝まで飲もう、的な、時間帯の到達の未来予想を言っている「そこ」なのか? と思いを巡らせてしまいましたが、「」(そこ)のことです。瓶や缶やグラスが空いて底が見える、露出する、あらわになるまで飲もうぜ兄弟、ということですね。

この「飲もうぜ兄弟」的な友愛が、あんたが一番、私は二番というサビをくくるフレーズにあらわれています。リスナーをたててくれる。一緒に場を共有してくれている仲間にハナを持たせる方針に、すごい男の器のデカさがみえます。あるいは、この「すごい男」であらば、いやいや。すごい男はあんたの方なんだぜときっと言うでしょう。すごい男は、周りまで「すごい男」にしてしまうからすごいのです。男でなくてもね。身体上の性別に限った話でなく精神の話です。これなら酒もうまくなる。

青沼詩郎

参考Wikipedia>三好鉄生

参考歌詞サイト 歌ネット>すごい男の唄

柳ジョージ・オフィシャル・ウェブサイト

三貴哲成(旧名三好鉄生)オフィシャルページ

三好鉄生が歌う『すごい男の唄』を収録した『三好鉄生BEST』(2017)

柳ジョージが歌った『すごい男の唄』を収録したコンピレーション『服部克久の世界~works』(2009)

アルバム『男だから…』にも『すごい男の唄』が収録されています。

ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『【寸評つき】靴履いてたんかい、熊。 すごい男の唄(柳ジョージが歌ったサントリービールのCM曲)ギター弾き語り』)