まえがき
動き、流れ続ける和音進行とメロディーが移ろう時のように儚く美しい印象です。 オーボエのリードと対になるハーモニカ。ハープのアルペジオ、エレクトリックピアノの柔和なリズムとハーモニー。わきあがるホルン、ストリングス。ドラムスのリムショットが終止やさしくかるい。バックグラウンドボーカルがおしゃれです。リズムの揺らぎをきかせたカレンのボーカルにカジュアルな余裕がみえます。2拍目・4拍目から、各拍表へのうつろいをみせるハイハットづかいはカーペンターズらしいサウンドです。ときおり浮き上がるベースのハイフレットプレイがアクセント。 デモ、アウトテイク、ライブ、テレビパフォーマンスなどをまとめた後年の未発表音源集に収録されています。『レインボウ・コネクション』を主題歌とした日本のドラマ『恋がしたい 恋がしたい 恋がしたい』(2001)に挿入歌として用いられました。
Leave Yesterday Behind Carpenters 曲の名義、発表の概要
作詞・作曲:Fred Karlin。Carpentersのアルバム『As Time Goes By(レインボウ・コネクション〜アズ・タイム・ゴーズ・バイ)』(2001)に収録。
Carpenters Leave Yesterday Behind(アルバム『As Time Goes By(レインボウ・コネクション〜アズ・タイム・ゴーズ・バイ)』収録)を聴く
きわめて耳触りがソフトです。カレンのボーカルの周りがじつにスッキリしています。ひとつひとつの音は豊かで臨場感があるのに、それでいて各パートの音はちゃんとひとつの共通の空間を共有して溶け合っているのに、なのになんでこんなにひとつひとつのパートの音が、そのフォルムが、輪郭が、境界線がちゃんとあるんだろう。なんか、もうずるい。俺にもそのスタジオで最高の環境で最高の仲間と一緒に録音させてくれよ。どーなってんだよ。音が綺麗。
ドラムの音の粒のひとつひとつのきれの短いこと。どんだけミュートしてんだよ、と思うくらいにボツっとタイコ類の音は切れます(収束が速い)。ドラムなのに、トライアングルとかカバサとかの小物をチャっとかシュっとかやっただけみたいなフットワークの軽さがつねにあるのです。今鳴らしている音を放った瞬間に、もう次にどんな音を鳴らすためのモーションに入るものか、まったくもって自由。いつも過去にとらわれていない。そうだ、これがこの曲の主題だよ!
昨日に縛られないで。あなたはいつも今日に立って、明日のほうを向いて臨んでいるのだから。そんなメッセージが読み取れるかもしれない、いや、きっとそうに違いないであろうこの曲における、しがらみから自由になっている、あるいはしがらみを受け入れているかのような成熟した精神を感じる種々のパートの演奏が、サウンドが尊いのです。
理不尽に怒りが収まらない日なども不意にふりかかります。でも起きた瞬間から過去だもの。あんたに俺の未来はくれてやらないよ。俺はしんどくても未来に向かう。昨日と仲良くしてたい奴はどうぞご自由に、上流に向かう私の下流でよろしくやっててくれよ。能天気な柄物の浮き輪にでも乗ってふわふわ流されて気持ちよくなっていなよ。
時の流れを能動的に乗りこなすのは、上流に向かうみたいなもんなんだ。つらくてしんどい。この場にいつづけるだけでもふんばる体力と筋力を要求される。そういう世界でやってんだもの。おれもあんたもえらいもんだよ。不可侵領域がお互いにあってこそ尊いのです。
青沼詩郎
参考Wikipedia>レインボウ・コネクション〜アズ・タイム・ゴーズ・バイ
参考歌詞サイト JOYSOUND>Leave Yesterday Behind
『Leave Yesterday Behind』を収録したCarpentersのアルバム『As Time Goes By(レインボウ・コネクション〜アズ・タイム・ゴーズ・バイ)』(2001)