つながる利己・利他
忌野さん独特の、12半音階を超越した歌い回し、節、音律があるみたいな自由で奔放で完璧なボーカルに魅せられます。ミドルテンポのトリプレットのビート、1・6・4・5のシンプルなコード進行を基調に君は自由なんだぜと背中を押してもらっている気分に浸れます。
“夢を見るのは 悪いことじゃない コトをあせり過ぎちゃダメさ ちょっとだけ 時間の流れが きみをじらしてるだけさ すべてはALRIGHT YA BABY”(『すべてはALRIGHT(YA BABY)』より、作詞・作曲:忌野清志郎・春日博文)
見た夢に向かって突き進み努力していても、夢の景観がこちらに近づいてきてくれないときもあるでしょう。大丈夫だ、Alrightだと甘やかすでもなく叱るでもなく同じ地平に立ってくれる言葉が尊いです。
“頭ごなしに 笑われても うぬぼれて踊ってりゃEのさ とつぜんの 贈りものを 受けとるときがきっとくるさ”(『すべてはALRIGHT(YA BABY)』より、作詞・作曲:忌野清志郎・春日博文)
利己と利他について考えさせます。自分のためにできる最高のことと、他人のためにできる最高のことは、最後はつながるのではないかと私は思っています。もし、そんなのは自分勝手だ、本人だけが満足するだけで他人はちっとも嬉しくないとか、他人のために尽くして一見喜んでもらったようだけれど奉仕した本人は心もからだもくたくたのぼろぼろだ、燃え残ってぶすぶすしているなんていう時は、それは利己や利他が最適化されていない、改善の余地があるということではないでしょうか。
音楽という媒体、枠の向こう側の精神に思い耽らせてくれる魅力がある楽曲です。
すべてはALRIGHT(YA BABY) RCサクセション 曲の名義、発表の概要
作詞・作曲:忌野清志郎、春日博文。RCサクセションのシングル、アルバム『HEART ACE』(1985)に収録。
RCサクセション すべてはALRIGHT(YA BABY)(アルバム『HEART ACE』収録)を聴く
フェイドアウトが良いですね。主題のメッセージ、「すべてはALRIGHT」の思想感情がリスナーの現実に溶けて一体になるみたいに感じます。慈しみが湧いてくる。
左にバフバフとワイルドなトーンのサックス。オクターブになっているのは二つの管トラックが重なっているのかしら。右にサックスと対になるエレキギターの伴奏。リズムを出すと共に、深く伸びの強いサウンドで楽曲の質感にエッジを出します。
こんこんとアコースティックピアノがトリプレットのリズムを出します。埋め過ぎず、ちょっときりもみするみたいに輝かしい音色でリズムと和声を出していきます。
ドラムのドザ!というスネアのサウンド。ゲートをかけた処理でしょうか。いかにもな80年代、時代を象徴するサウンドという感じがする、幅広なみっちりした質感です。歌が「なぜ? 母のない子のような」……とブリッジに入り、ビタビタビタビタ!と圧巻のバスドラム連打。ビーターが打面の前でもんどり打つのが視えるようです。
「すべては ALRIGHT YA BABY」、主題のフレーズをシンガロングで。同じ音程。1オクターブ下の音程。最後のフェードがかかるころにはハーモニーの旋律もいるのが私の意識にあがってきます。輪のなかにさまざまな個性があって、みんなそれぞれがうまくいくぜ。そんなメッセージを体現しているかのよう。
音量も下がって来た頃、ストリングスの音色もいたのだと私は近くします。ちょっとビートルズっぽいかな。さりげないです。曲中、コヨコヨ、くみょんくみょん? なんと言い表したものか独特なシンセの音色も入っています。存在感はやはりさりげないですが、どんなに珍奇な君でも世界のなかのイチ主人公なんだぜと言ってもらっているような、ガラパゴス進化でもなりふり構わず進んでいいんだぜ!ALRIGHT! と言ってもらっている気分になる楽しい音?!がさりげなくバンドのベーシックにコミット・フィットしています。
すべてのALRIGHTはお互いの・それぞれのためになるんだよ。
青沼詩郎
参考Wikipedia>すべてはALRIGHT (YA BABY)
参考歌詞サイト 歌ネット>すべてはALRIGHT(YA BABY)
RC SUCCESSION | RCサクセション – UNIVERSAL MUSICサイトへのリンク
地味変 忌野清志郎公式サイトへのリンク
『すべてはALRIGHT(YA BABY)』を収録したRCサクセションのアルバム『HEART ACE』(1985)