メリークリスマス。
すてきなホリデイ 竹内まりや 曲の名義、発表についての概要
作詞・作曲:竹内まりや。編曲:服部克久。竹内まりやのシングル、アルバム『Bon Appetit!』(2001)に収録。ケンタッキーフライドチキンクリスマスCMソング(2000)。
竹内まりや すてきなホリデイ(ベストアルバム『Expressions』収録)を聴く
ビート感を遠ざけた悠久なイントロはヒキからヨリに移ろうカメラワークのよう。
オーケストラのサウンドが極上です。フルート族の喜びの舞。ダブルリードのメロウで孤独な輪郭。しゃんしゃんしゃん…とスレイベルはクリスマスソングの必須メンバーです。カチカチ!と歯ざわりのかるいシロフォンは、ハッピーホリデイの人のかろやかな気分を表すかのよう。
ストリングスがハーモニーをなします。ギターとかベース、ドラムスといった普通のバンドのベーシックではないんです。豊かな語彙で対旋律したり合いの手を入れるのも管弦楽器なのです。デデンと要所をキメるティンパニー、これぞオーケスラ・ヒットの音だね。低音金管もここぞでぶぃーっと勇ましくうなります。
ストリングスの質感もみずみずしいですが、バックグラウンドボーカルも語彙豊かにハーモニー、そしてモチーフの情報量を増し輝かせます。
オケ、曲調、サウンドの参照元としてはルロイ・アンダーソンの『そり滑り(Sleigh Ride)』的テクスチャーを潤沢に感じます。竹内まりやさんら制作チームが実際に参考にされたのかどうかは分かりませんが、クリスマスシーズンの大衆音楽といえばこれだよねという要素を豊かに感じます。
“クリスマスが今年もやって来る 悲しかった出来事を 消し去るように さあ パジャマを脱いだら出かけよう 少しずつ白くなる 街路樹を駆け抜けて”(『すてきなホリデイ』より、作詞:竹内まりや)
雪が降り始めているのでしょう。すっかり積もってしまったら、駆け抜けるには路面に足をとられてあぶないよ!とはらはら。いまこの瞬間の気持ちの動き、躍動が情景描写によって表現されていて素敵です。
一度は着たパジャマを脱ぐ時間帯が気になります。12月24日のはじまりすなわち朝なのか、あるいは24日もこっくりと暮れ、一度は就寝の準備をしたけれど気持ちがそわそわしてしまって聖夜の町に繰り出していく場面なのでしょうか。私の勝手な思い込みとしてはなんとなく後者(夜)の情景を想起します(あなたはどんな味わいを見出しますか)。
悲しかった出来事の象徴が、うっすらと白く町をつつむ雪なのかもしれません。悲しかったことも、雪に姿を変えて、今日だけの特別でマジカルな景色を見せてくれる名役者になります。どんなつらいことも、未来の美しい景色に与する財産・資源なんですよね。リスナーの背中に手が添えられているような温かさを感じるソングライティングにグっと来ます。
すてきなホリデイを。
青沼詩郎
参考Wikipedia>ノスタルジア (竹内まりやの曲)、Bon Appetit!
『すてきなホリデイ』を収録した竹内まりやのアルバム『Bon Appetit!』(2001)