きっかりの境地へ
朝ドラの主題歌で毎日流れていたのに聴き覚えがあります。一日を景気よく、たのしく、あかるく始めるために、背中を押してハイタッチで送り出してくれるような元気な歌に愛を覚えます。
働かざる者食うべからずという慣用表現がありますがそれへのカウンターであると解釈するのも一興で、まずは遊ぶことでかえって心の元気や余裕(モチベーション)が生まれ、やるべきことや仕事や試練に立ち向かうのに万全な精神になるという悟りをくれる曲だと思えるのです。まずは遊ぶことで「アソビ」すなわち時間や体力の余裕をほどよく切り詰めて、さぁ今この瞬間に宿題を始める以外ないぜ!(これでもう余裕はないぜ、今この瞬間に始めさえすれば、きっかりちょうどだぜ!)という境地に己を置くことができるのです……。
ダウンビート、表拍を強調するドラムのビートとともに始まる歌い出しで一日の始まりはこれでオーケー、今日も一日うまくいく保証をもらえた気分です。
MVが可笑しい
ツッコミどころ満載の寸劇でMVのコンセプト、ストーリー性を提示します。
ダンサーの中にパパイヤ鈴木さんのお顔を発見。振り付けを担当されたのでしょうか。『タモリ倶楽部』の“空耳アアワー”にでも出てきそうな雰囲気のモブキャラ風ダンサー群の個性、躍動する表情にもにじむ可笑しみがあります。
あそぼう ウルフルズ 曲の名義、発表の概要
作詞・作曲:トータス松本。編曲:ウルフルズ、吉田建。ウルフルズのアルバム『サンキュー・フォー・ザ・ミュージック』(1998)に収録、シングルカット。NHK連続テレビ小説『やんちゃくれ』(1998年10月〜翌年4月)主題歌。
ウルフルズ あそぼう(アルバム『サンキュー・フォー・ザ・ミュージック』収録)を聴く
リードボーカルの8分音符をしきつめるようなメロと、サビの「あそぼう」の大きく開く音価が呈する対比にメリハリがあります。トータスさんらしいボーカルの熱量、迫力、質感、スピード感が気持ちよいです。
Aメージャーキーの曲で、Ⅳ調にあたるDキーのテンホールズハーモニカを使う感じでしょうか。ナチュラルGの音程が元気な楽曲にブルージーなテイストを加えます。遊んでる感じがしますよね。
右に強く鋭い質感のギター。歌詞が「夜空見上げたら」……に突入するところではゆらめくトレモロ風のトーンになります。ロマンティックですね。左のギターのほうがリズムや音色の補佐という感じがします。バックグラウンドボーカルの「どぅ、どぅどぅ、どぅどぅ、どぅどぅびどぅびだ……」というパターンと同じ音形のパターンを「あそぼーおーお」……と歌うサビのところで再現していていいですね。
鼻歌を歌おうとのリードボーカルの呼びかけに反応し、バンドは完全にブレイク。へろへろなハミングが丸裸になり、スネアドラムの「カ・カン!」を怒号に一気にバンドが復帰。ぎゅいーんとのぼせ上がるみたいなギタートラックのグリスアップも表れ、リズミックでワイルドなソロギター。インストゥルメンツトラック数が最高潮に達する間奏は短3度上のCメージャー調へ転調して展開されます。
最後のサビに入る直前には“よし、また明日考えようか!”とガヤ系のボーカル。これはウルフルズクオリティといいますか「お印」といいますか、彼らにしかできないし彼らでなければならないアソビです。
“あそぼう、まずはそれから”でしめくくる歌詞。「それから」で終わる歌詞の楽曲って珍しいです。アソビのあとに、本当に立ち向かうべき試練や課題が待ち構えているのかもしれないし、あるいはまた次のアソビの始まりでもあるのでしょう。「それから」の先を暗に示してフレーミング。傑作です。
それから……また“あそぼう”。
青沼詩郎
参考Wikipedia>あそぼう、サンキュー・フォー・ザ・ミュージック (ウルフルズのアルバム)
『あそぼう』を収録したウルフルズのアルバム『サンキュー・フォー・ザ・ミュージック』(1998)
ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『【寸評つき】 きっかりの境地へ『あそぼう(ウルフルズの曲)』ギター弾き語りとハーモニカ』)