熱波にぎやか
山口洋さんがボーカルを務めるバンドのネーミングの由来にもなっているという楽曲。
熱波を愛の威力、エネルギーの高さ・大きさに喩えた主題でしょうか。
声域のなかを動いても動いても輝きと豊かさのあるマーサのリードボーカル。自由で縦横無尽な印象で前後しますが、譜面に書いたら案外シンプルなのかもしれません。ペンタトニックスケールのメロディです。ボーカルグループですから常にバックグランドや合いの手、対旋律でリード以外のボーカルパートが入っており賑やかで活気のある印象です。
ブリブリとしたサックスのギラつく音色、オープンなスネアドラムの音色がアクセント。特にスネアドラムのダイナミクスはオケになじむところと出るところのメリハリが合って多彩です。タンバリンやクラップも鳴って華やか。スウィングした跳ねたビートと軽快なテンポで、根音から5度の音程を長6度に上げては戻すロックンロールの伴奏の定型パターンを見せます。
作家のHolland–Dozier–Hollandはモータウンの作曲チーム。スプリームスが歌い、フィル・コリンズもカバーした『You Can’t Hurry Love』も同じ作曲チーム名義による代表作といえそうです。
『Heat Wave』はリンダ・ロシュタットのカバー(1975)もあります。
Heat Wave Martha Reeves And The Vandellas 曲の名義、発表の概要
作詞・作曲:Holland-Dozier-Holland。Martha Reeves And The Vandellasのシングル、アルバム『Heat Wave』(1963)に収録。
Martha Reeves And The Vandellas Heat Wavem(アルバム『Heat Wave』収録)を聴く
ドラムの出方がすごいです。右トラックにドラム、ベース、ピアノが寄っています。左には複数のサックス。タンバリンは中央付近かやや左でしょうか。
ドラムが雄弁すぎてセンターのボーカルチームはバランス的には少々奥に感じるほどです。それでも強烈な輝きを放つボーカルの質感が素晴らしい。
音量的にも出ているだけあってドラムの表現が雄弁です。スネアの使い方、装飾やフラムの付け方が至って達者。ジャズ的な語彙、スネアの使い方で表拍、ダウンビートを軽やかに、ウラの弾み具合が表面にちょっと触るみたいなスティックコントロールで表現します。スカン!と抜けた音を出すスネアと、スネアやハイハットだかをちょっとだけ触る・撫でるみたいな音のメリハリが素晴らしく、言語をしゃべっているみたいなドラミングです。タンバリンはチャキ、チャキ……と表拍のダウンビートを彩ります。
左で複数のサックスがハーモニーを成しているのがいいですね。フリーキーな性格をしていそうでいながら、コンビネーションができていて強調性もあります。
ギターものは入っていないのかな。熱波を主題にした熱く賑やかな演奏ですが、ちゃんと余白もある。埋めすぎていないんです。ピアノの弾み具合も良いですね。
この曲を冒頭に、アルバムを聴き進んでいっても曲調がそれぞれで緩急豊かです。名盤の称号がふさわしいでしょう。
青沼詩郎
参考Wikipedia>Martha and the Vandellas、Heat Wave (Martha and the Vandellas album)、Heat Wave (1963 song)、ヒートウェイヴ
『Heat Wave』を収録したMartha Reeves And The Vandellasのアルバム『Heat Wave』(1963)