『バラが咲いた』のB面曲

『バラが咲いた』の代表曲で知られるマイク眞木さん。そのシングルのB面に収録されたのがこの『歌おうよ 叫ぼうよ』で、作詞作曲者は日高義さん。フォークの界隈では名のある人のようで、17歳だった頃の高田渡さんも、アメリカのフォークの見聞を求めて日高さんのもとを訪ねたというエピソードもあるそうです。

楽曲のメロディは“歌おうよ” “叫ぼうよ” の上行と下行の対照形が審美的です。

ある時代のフォークソングらしく、集団意識の高さを感じる歌詞が聴く人・歌う人を選ばない普遍性を獲得している一方、個人それぞれの多様性の尊重がさけばれる社会においてはそこがかえって違和感の種でもあるかもしれません。

後半では歌詞が英語になり、前半に日本語で歌っているのとおおむね同義の内容を英語にした趣向です。こうした、後半で前半の日本語詞の内容を受けた英語詞がうたわれるポップスの例は私の知見だけでも、たとえば竹内まりやさんからアン・ルイスさんに提供された『リンダ』、小林明子さんの『恋におちて -Fall in love-』などが思い浮かびます。こういった例を思うとマイク眞木さんが歌った本曲『歌おうよ 叫ぼうよ』の英語日本語を前後半でチャンポンさせる手法はかなり先駆的です。純粋にアメリカのフォークに影響を受けている、というところに由来するのでしょう。

“ha! ” “ya!”、音程を厳密に定めないガヤ・掛け声的なものも時間的には一瞬ですが楽曲の印象を強く左右するフックになっています。

歌おうよ 叫ぼうよ マイク眞木 曲の名義、発表の概要

作詞・作曲:日高義。マイク眞木のシングル『バラが咲いた』(1966)B面に収録。

マイク眞木 歌おうよ 叫ぼうよ(アルバム『バラが咲いた マイク眞木 フォーク・アルバム』収録)を聴く

歌声がみずみずしく、発声がきれいです。「うたのおにいさん」的な清らかさがあります。あるいはキャンプリーダーですね。うたおうよ、ha! さけぼうよ、ya! と、1人で歌とレスポンスの兼任をしているみたいで忙しい。

バンジョーの猛烈なストロークが楽曲のエンジンです。長3度と短3度の音を思い切りぶつけたような独特の濁りのかたまりのような響きがモノラルの音像でドチャ!っと私の顔面にかむさってきます。ベースはコントラバスタイプのずん、どんと深い響き。ほとんどバンジョーのかき鳴らしとベースと歌・シンガロングがサウンドの印象をしめますが、足踏みオルガンもしくはアコーディオンみたいなリードがふわぁ〜っと鳴って和音を支えている気もします。入っているのかな? 私の空耳でなければ。

ソロで8小節歌って、シンガロングがつづく8小節を反復する構造になっています……で、英語のパートもシンガロングが繰り返すのかなとヨコシマな期待をしてしまいましたが英語のところだけはシンガロングのリフレインがなく、パっと半音転調して上にあがることで音楽的な清涼感を得てそのままつぎの「黒雲おおう……」の歌詞の楽節に突入していきます。元がAメージャーで、転調してB♭メージャーになります。

最後は「バンジョー鳴らし……」の一番の歌詞にもどって、シメのフレーズ「歌おうよ、Ya!」と掛け声が残響とともに轟いてフィニッシュ。インパクトがあります。『バラが咲いた』のソフトな歌唱と曲調の裏面がコレ、なかなか良いAB面の緩急になっている気がします。

青沼詩郎

参考Wikipedia>バラが咲いたマイク眞木

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一般社団法人日本ポピュラー音楽協会 インタビュー Vol.64 流れに逆らわないで、ただ好きなことをずっとやって生きてきただけなんです マイク眞木 マイク眞木さんの半生、生きる態度やものごとに向かう考え方、趣味や志向、音楽ジャンルとしてのカントリーやフォークとの接点が垣間見えるインタビューです。

『歌おうよ 叫ぼうよ』を収録したマイク眞木のファーストアルバム『バラが咲いた マイク真木のフォーク・アルバム』(1966)に