ミュージシャンあるいは音楽関係者が進行をつとめる音楽ラジオやトークラジオ(ポッドキャスト等)が好きで、気になります。トランスコスモス presents 松任谷正隆の…ちょっと変なこと聞いてもいいですか?のこぼれ話版(?)、“もっと変なこと聞いてもいいですか?”に村井邦彦さんが出演した回を先日聴きました。そこでひょいと名前を挙げて語られた曲が素敵でした(確かこの回かな)。『愛を育てる』という曲なのです。

愛を育てる 曲の名義、発表の概要

作詞:山上路夫、作曲:村井邦彦。1971年頃?〜、トワ・エ・モワの歌唱がテレビ番組『スター千一夜』で旭化成CMソングとして用いられる。音楽グループNOVOがシングル曲として1973年に発表、2003年『novo complete』に収録。トワ・エ・モワの音源は2019年発売CD6枚組『FOLK & POP』に収録される。

NOVO 愛を育てるを聴く

ブラジルを感じる、力の抜けた洗練されたサウンドを聴くに私は猛烈に深夜ラジオを感じてしまいます。『Bittersweet Samba』という名曲がANN(オールナイトニッポン)で長く使われているせいでしょうか。

ジンジンと「にじみ」「広がり」を感じるエレピの音がリズムと響きの基調。ボーカルはキレイなダブル。2回同じ旋律を歌うサウンドです。女声メインに男声がオブリガードしますし、箇所によって部分的に男声がメインをとります。そこだけ転調しているかな。スムースな展開で紡がれ、トリッキーで音楽的な複雑さを孕んでいる気もするのですが洗練されており凸凹を感じさせません。洒脱、サレオツ。

これが1970年代にリリースされたサウンドであるということに驚きです。ヒィーと透き通るストリングスのアルコの高域がみずみずしいです。キックの余韻が非常にデッドで、ベースのアタックを強調します。ベースのストロークのアタック音そのものじゃないかと思えるほどにベースとジャストなグルーヴですがベースはベースでよく動き闊達です。

冒頭に述べたトークラジオでnovoというグループがパフォーマンスした旨を村井さんが語りましたが、この曲のオリジナル、すなわち最初はテレビ番組のスポンサーをPRするCMソングとしてトワ・エ・モワがパフォーマンスしたようです。Youtubeで検索すればそれらしいものに出会えるかもしれません。

作詞の山上路夫さん、作曲の村井邦彦さんレパートリーは枚挙にいとまなし。私なりに好きで結構聴いているリスナーだという自覚があるのですが、それを凌駕する作歴の多さ、質量。未だに『愛を育てる』のような曲に出会うことに驚きです。

青沼詩郎

参考Wikipedia>スター千一夜

参考サイト HMV & BOOKS Online 【特集】 幻の和製ブラジリアン・グループ NOVOの秘宝が再び

『novo complete』(2003)

『novo complete』に2曲の新録を追加した『LOVE IS THERE-NOVO COMPLETE WORKS』(2013)

『愛を育てる』を収録したトワ・エ・モワの『FOLK & POP』(2019)

ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『愛を育てる(トワ・エ・モワの曲)ウクレレ弾き語りとハーモニカ』)