アンナ 西岡恭蔵 曲の名義、発表の概要
作詞:KURO、作曲:西岡恭蔵。西岡恭蔵とカリブの嵐のアルバム『’77.9.9京都「磔磔」』(1978)に収録。
西岡恭蔵 アンナを聴く
ライブ音源がオリジナル発表のようなのです。西岡恭蔵とカリブの嵐名義。ゾウさん(愛称で失礼、西岡恭蔵さん)を中心にしたバンド名義なわけです。林敏明 (ds)、山本正明 (b)、難波正司(p)、国府輝幸 (p)、洪栄龍 (g)(芽瑠璃堂さんのWebサイトから引用、敬称略)がメンバー。
左にピアノ。音域がトリムされてバンドのなかでのキャラクタライズ(なんて名詞あるかどうか)された軽やかな音色とプレイですが、それでいて堂々とした雅(ミヤビ)なサウンドです。
ピアノと対になるように右に開いたエレキギター。ミャウン……とワウペダルがはさんであるのかしら。補佐的なプレイにまわるときでも言葉をしゃべっているみたいに表現が豊かです。ポキポキとぷリッジミュートのプレイがはずんでいます。間奏のリード(ソロ)も担います。頼れるギターです。
まんなかにゾウさんの弾き語るアコギでしょうか。ピアノの音域や役割と重なるところがありますが、定位をわけて音像を整理しています。アコギがいるのかいないのかさりげないくらいのバランス感に聞こえる瞬間もありますし、お、少し前に出てきたなと感じる瞬間もあります。
ベースとドラムのプレーンな音色がすっきりとした地盤を敷きます。音の質量感、一つひとつのストロークの幅、サスティンが気持ちよい。ハイハットの音色などタイトすぎないところにゆったりとした余裕が生まれます。
ゾウさんのボーカルがあたたかい。色でいったらオレンジと表現したくなる、太い質量のある純朴な歌声が魅力です。ライブ音源で、少し高めのピッチ感が特徴に思えます。生演奏の現場で、ロスのないベース音などを聴きながらこの歌声を聴いたら案外これくらいのピッチ感こそ正義、と思えるかもしれません。
“アンナ“、現実にいる人物をモチーフにしたのかどうか。作詞はゾウさんの公私のパートナーKUROさん。“アンナ 君は十五 夢からさめる頃”このラインの韻の踏み具合は特級!と思えるぐらい。
メロディはまるでThe Beatles『Hey Jude』ですね。『アンナ』はそちらと違ってトリプレットの拍子なので、メロディの抑揚が似ていてもあまりあからさまにヘイ・ジュードだねという感じもしません、もちろん明らかに似てはいるのですが。
ライブアルバムで、生演奏のフォーマットが大前提になったセットリストが詰まっています。他の収録曲も魅力です。録音作品は納得いくテイクをつかう、というのが前提になりますが、ライブアルバムとなると一発勝負が前提になります。魂と生命をのせる船としての楽曲で構成されたセットリストではないかと。
青沼詩郎
『アンナ』を収録した西岡恭蔵とカリブの嵐のアルバム『’77.9.9京都「磔磔」』(1978)
ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『アンナ(西岡恭蔵の曲)ウクレレ弾き語りとハーモニカ』)