いつのまにか近寄る春

ラジオが好きです。ラジオを聴きながら単純作業をこなす時間を与えられたら、結構延々とやれる気がします。私が千年でも何千年でも生きるエルフとかだったら好んで進んでやるかもしれません。

トーキョーエフエムなど好んでききます。東京都民だからです。住吉美紀さんがパーソナリティのブルーオーシャンという番組のオンエアリストを見ていたら、先日放送された曲にはっぴいえんどの名前をみつけました。『明日あたりはきっと春』。はっぴいえんどは私のフェイバリットバンドのひとつです。

リリースの総量は、その活動期間の短さもあってかそこまで多いわけではないのがはっぴいえんどですが、不勉強な私はすべての楽曲名を聴いてすべてをきっちり脳内再生できるほどには聴き込み不足です。『明日あたりはきっと春』どんな曲だったかな。

ラジオは時候に合った曲がプレイされるのが魅力です。そういうものを聴いて育つミュージシャンは、また時候を意識した創作に意欲をだすのです。そうして季節がめぐるように、時候の歌が終わらないバトンを継いでいくのだと思います。

明日あたりはきっと春 はっぴいえんど 曲の名義、発表の概要

作詞:松本隆、作曲:鈴木茂。はっぴいえんどのアルバム『HAPPY END』(1973)。

はっぴいえんど 明日あたりはきっと春を聴く

“冬化粧 白は流れて 砂糖菓子の街 ひっそりと テーブルには 牛乳瓶に詰められた ぼくらの春が ほら ごらん 冬が空をゆっくりと渡ってゆくよ 冬がだんだん遠くなる”

(『明日あたりはきっと春』より、作詞:松本隆)

牛乳瓶と聞くと自分の学童期を思い出します。愛嬌を感じるのです、かわいいなと。義務教育を通るのがこの国の人の普遍です。給食にふれ、牛乳瓶にふれた人も多いかと思います。自分はパックだったとかそういう人もままいるかもしれません。

春がそこにいるのです。ミルクの白は春の白かもしれません。冬の白でもあるのでしょう。ミルクの白が、冬と春をつないでいるのです。

瓶の中に牛乳が入っている状態とも限りません。もう飲み終えたあとに洗って、水なんか張ってあって、おもてで積んできた花なんかが挿してあるのかもしれません。それこそ、冬の白だ春の白だ以前にもう花と聞いたら春ですね。牛乳瓶に春。もう千金フレーズです。クラクラ。

サウンドがおしゃれ、主音の根音保続で、ゆっくりと雲がたなびくように歌がつむがれていきます。上昇気流にのってあがっていくようなバックグラウンドボーカル。サックスがおしゃれったらないですね。

ベースの音のイケメンぶりに酔わされてしまいます。私のサウンドの理想です。「タタタタ」というリズム形を執拗に繰り返すドラムス。春の訪れを喚起するような、断続する刺激です。

アコギの倍音感が豊かなのなんの。右にはピアノがじゅんじゅんと私の心をうるおします。

豊かだなぁ。春です。

青沼詩郎

参考Wikipedia>HAPPY END (アルバム)

参考歌詞サイト 歌ネット>明日あたりはきっと春

『明日あたりはきっと春』を収録したはっぴいえんどのアルバム『HAPPY END 』(オリジナル発売年:1973)

ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『明日あたりはきっと春(はっぴいえんどの曲)ギター弾き語りとハーモニカ』)