まえがき

自分自身の学びのために私が毎日投稿を続けている、他作の弾き語り一発録音on YouTube。ありがたいことにリアクションや、この曲を取り上げてはどうかとご提案いただけることもあります。最近友部正人さんの『ぼくは君を探しに来たんだ』という曲を教えてもらいました。

ぼくは君を探しに来たんだ 友部正人 曲の名義、発表の概要

作詞・作曲:友部正人。友部正人のアルバム『なんでもない日には』(1980)に収録。

友部正人 ぼくは君を探しに来たんだを聴きたい

サブスク配信がなく、ダウンロード販売もなく、流通円盤の入手も困難な様子の『ぼくは君を探しに来たんだ』。正規な(公式からの)音源をもとに執筆したいこの記事ですが今回は仕方なしに検索してヒットする動画等に頼ってみます。

Cメージャーでカノン進行っぽい雰囲気もある渾身のスロー・ミッドバラードという感じがします。シンプルですが愚直とも違う、スタイルにも語彙にもよりかからない生々しくリアルな「全霊」を感じる演奏、音像です。

ボブ・ディランを思い出させます。字脚が入り乱れる各ヴァース。書き込むスペースを渡されそこに自由に言葉と意思が躍ります。コーラスは定型の歌詞を繰り返しますが、リードボーカルが、後半のコーラスにいくほどに熱量を増し音程もより高い方へと導かれ結びには天に突き刺さらんばかり、上の主音のCにまで達してしまいます(どこまで声が出るんだ!)。

演奏メンバーも充実の様相です。間奏のピアノのソロが雄弁。終わるとさっと引っ込み、左でエレキギターがソロのピアノソロの終わりを祝福し労い「ブラボー」の声をかけるようにオブリガードを突出させるヴァースが旨味です。スタジオライブ形式での収録とのことで、熱量の生生しさと音像の明瞭さのいいところを両立しています。白熱するボーカルのゲインコンプレッション感など最好。パチパチ……とエンディングに聴衆の拍手が入っています。スタジオライブらしい、限られた人数の手から弾け出た感じの拍手です。

誰から誰に向けられた詩なのか。もちろん僕から君に向けた歌なのでしょうが、“話し上手の君にも会いたかったし ぼくのいない町で暮らしたかったから”(私の聴き取りによる歌詞の起こし)というコーラスのフレーズの主語はなんでしょう。ぼくのいない町で暮らしたかったのは、君が主語でしょうか。あるいは、僕自身が、ぼくという人格が築かれた町を出て新しい暮らしをはじめたい主体なのかもしれません。

青沼詩郎

参考Wikipedia>友部正人

記憶の記録LIBRARY>友部正人>なんでもない日には

友部正人 公式サイトへのリンク

2024年11月20日にライブレコーディングアルバム『銀座線を探して』リリース(参照リンク)。意欲的です!

FODのオリジナル音楽番組『PARK』の『シーズン1エピソード52 – 第52回 -LIVE- 友部正人』で『ぼくは君を探しに来たんだ』のライブ演奏が披露されているようです。

ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『ぼくは君を探しに来たんだ(友部正人の曲)ギター弾き語りとハーモニカ』)