このリフ聴いたことある100選(仮)

このリフ聴いたことある世界100選みたいなのがあったとしたらまずこの曲は入選するのではないでしょうか。表拍と裏拍のメリハリをうまく生かしたリフで、このリフのリズム形だけでも前にいく推進力とエッジ感が十分に演出されているように思います。

バンドの音は案外シンプルで、左にリフのエレキ、右にびらびらと派手にひずんだオルガンが印象的。中央はすっきりしていて、ボーカルのブルージーでアーシーな質感からギラっと堂々とした響きがとどろくメリハリが映える風通しの良さもあります。スネアのタスっとほどよくおさえられたサスティンあるいはミュートの塩梅もグッドサウンド。

どこかに出かけていくぜ、という方向性、目的へ向かうモチベーションを感じる曲調で、映画『イージー・ライダー』に用いられたといいますが、私個人としては日本のテレビのバラエティ番組で、何か企画がはじまるときの導入部分あたりのBGMでこの楽曲のサウンドに出会うことがしばしばあったような気がするのは決して記憶違いではないはずです。

作詞作曲者はステッペンウルフメンバー、かと思えばメンバーに名前が見当たらず……ステッペンウルフの前身バンド「ザ・スパロウズ」のリードギタリストを務めていたデニス・エドモントン(別名、筆名?がマーズ・ボンファイヤー)によるものです。自分が抜けたあとのバンドが、自分が書いた楽曲をヒットさせるのは惜しいのか誇らしいのか本人のみぞ知るところでしょうか。

今のかたちで知られる前の本曲はバラード調だったというエピソードはとても意外です。ビートルズにもそんなようなエピソードを聞くことが結構ある気がします。曲調って、重要なんて表現じゃ足りないくらい楽曲の命運を左右するのですね。

Born to Be Wild STEPPENWOLF 曲の名義、発表の概要

作詞・作曲:Mars Bonfire(マーズ・ボンファイヤー)。STEPPENWOLFのシングル、アルバム『STEPPENWOLF』(1968)に収録。

STEPPENWOLF Born to Be Wild(アルバム『STEPPENWOLF』収録)を聴く

私、このドラマーのプレイがすごく好みです。熱量のデザインが非常にうまいです。クラッシュシンバルのオープンストロークを交えたキメ。もっとも有名なフレーズ、ボーン・トゥ・ビー・ワイルド♪と歌うところなんかがそうですね。ヴァースはハイハットのクローズド。間奏は派手派手グラマラスなオルガンに譲ってか、あえてシンバル類を用いないでスネアで表拍をとっていき、無駄にバンドの音像がブワつかないように、オルガンを引き立たせていてタイト。ボーン・トゥ・ビー・ワイルド♪を繰り返すところではドコドコとタムを操り、お祭りの胸騒ぎを演出。私このドラマー好きです。ずばりジェリー・エドモントン(Jerry Edmonton)で、この楽曲の作詞作曲者:デニス・エドモントンの弟さんなのですね。

エレキギターの鋭い音色はリズムのメリハリを出します。ボーン・トゥ・ビー・ワイルド♪と歌う直後に、このモチーフを繰り返すのはオルガン。もっと派手にコールアンドレスポンスしているような脳内補正が私の記憶のなかでかかってしまっていましたが、案外私の心の中だけの勘違いでした。ボーン・トゥ・ビー・ワイルド♪のボーカルフレーズはうっすらダブリングになっていますね。

ギターはメインは左サイドのみですが、途中でクリーンでブルージーなフィールの2本目のギターも右寄り?に入ってきます。

真ん中がすっきりした音像な気がしていましたが、あらためてヘッドフォンで聴くとボーカルとメインのエレキが左寄りで、そのほかが右寄りという2分構造かもしれないと思いました。中央と左右でなく、左か右か、的な……

ベースのサウンドが非常にカドの丸いもごもご!っとした質感なのも、この曲のエッジをむしろ引き立たせる塩梅な気もします。

青沼詩郎

参考Wikipedia>ワイルドでいこう!ステッペンウルフ

参考歌詞サイト 世界の童謡・民謡>Born to Be Wild 歌詞と和訳 ステッペンウルフ ヒッピー最盛期の1969年に公開された傑作ロード・ムービー主題歌 ヒッピー文化、カウンターカルチャーとこの楽曲のイメージの符号点に言及し歌詞の和訳を掲載しているページです。

STEPPENWOLF 公式サイトへのリンク サイトデザインがかっこいい。

『Born to Be Wild』を収録したバンド自身の名前を冠したファーストアルバム『STEPPENWOLF』(1968)

ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『【寸評つき】ワイルドでいこう!『Born to Be Wild(STEPPENWOLFの曲)』ギター弾き語りとハーモニカ』)