Bridge Over Troubled Water Simon and Garfunkel 曲の名義、発表の概要

作詞・作曲:Paul Simon。Simon and Garfunkelのシングル、アルバム『Bridge over Troubled Water』(1970)に収録。

Simon and Garfunkel Bridge Over Troubled Waterを聴く

闇の中から一粒の宇宙誕生……みたいな静謐なボーカルインが見事です。

ピアノの情報量のなんと多いこと。これ弾き語りだったらヤベェなと思いました。さすがにスタジオミュージシャンの仕事のようです。いえ、弾き語りじゃなくたって(役割分担していたって)ヤベェですけど……

低音位の細かいアレンジ。経過的なベースのつながり、あるいは動じずに保続。刻々と光と色彩をかえる上声の響き。万華鏡かよ。

ベースからトップノートまで豊かな響き、広い音域を一台のピアノで網羅、面でローラー。

2番でフォゥーンとビブラフォン。一気に私の心の景色が日本の昭和のデパートの閉店間際に変わりました。主に古関裕而さんの別れのワルツのせいでしょう。

ビブラフォンはピアノが支配的な音の景色を邪魔することなく絹のような耳心地を加えます。このままデパートのシャッターとともに曲も閉じるか……といえばここからがドラマチック。

ベシン……! ダシァーン!……ドラムにかかった残響のなんと強いこと。いえ、強いというよりは空間がでかい、でかすぎる。こんなに壮大な空間を思わせるドラムはThe Ronettes『Be My Baby』で聴いて以来の私です。ボーカルのハーモニーが厚くなり、ストリングスも加わり、自然と人間の調和した群像を私に思わせます。

神がかったボーカルの広いダイナミクス、表現の幅に私はすべての身の動きを止めて硬直してしまう。神からの信号がキてしまう。私にそんなプログラムが仕込まれていたのかと初めて知ります。リード・ボーカルがアート・ガーファンクルだそうです。

troubled waterはジャパニーズの私にはあまりなじみのない語彙でした。汚染されちゃった水、みたいな感じ……? とあてずっぽうな想像をしつつ、安易に検索してみる。ストレートなニュアンスは「激流」「荒波」「荒れ海」みたいな感じ、そこからの比喩として混沌状態、混乱、動乱などのニュアンスでも用いられる語彙なのだとひとまず知覚を得ました。

荒れた厳しい波が猛る、その上にかかる橋に僕がなる(君たちが渡るがいいよ)というような態度でしょうか。混沌のさなかの希望に僕がなる! といった、現実の非情さと献身的な希望の意思の対比が楽曲の根であり幹なのだと解釈します。信じるものに敬虔な態度を感じます。宗教観があっても無宗教であっても。

『Bridge Over Troubled Water』のピアノトップノート、和声の採譜例。下行形の順次進行が滑らかで優美な印象をもたらします。主人公がかけた橋をゆっくりと降りて、渡った先でまた登っていく音形が未来のはじまりです。

私もあなたも、お互いが橋なのです。渡らせてもらったら、他者を私てあげるの互恵関係。『明日に架ける橋』が、楽曲の細部や歌詞やメロディや歌声がどうのはもちろん重要ですしそれらすべての掛け合わせによって名曲たるのは当然ですが、そのすべてを括る魂柱、主題が真理をついているから名曲なのだと深く腹におちる私。

青沼詩郎

参考Wikipedia>明日に架ける橋

歌詞と和訳の参考サイト 世界の民謡・童謡>明日に架ける橋 歌詞の意味・和訳 黒人霊歌・ゴスペルから影響を受けた最大のヒット曲 「ネタ元」とし、作曲の着想のヒントとともに和訳を紹介しているサイトです。

サイモン&ガーファンクル ソニーミュージックサイトへのリンク

Simon and Garfunkelのアルバム『Bridge over Troubled Water』(1970)

ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『Bridge Over Troubled Water(Simon and Garfunkelの曲)ピアノ弾き語り』)