まえがき
個性、パンチのある複数の歌声が織りなす響きは豊かなのに空虚なエモーションがあります。妖艶な間奏のアルトフルートも聴きどころのママス・アンド・パパス。バリー・マクガイアのバージョンは主旋律がはっきりする印象です。
California Dreamin’ 夢のカリフォルニア The Mamas & The Papas 曲の名義、発表の概要
作詞・作曲:John Phillips、Michelle Phillips。The Mamas & The Papasのシングル(1965)、アルバム『If You Can Believe Your Eyes and Ears』(1966)に収録。
The Mamas & The Papas California Dreamin’ 夢のカリフォルニアを聴く
左右それぞれから定位がわかれたボーカルがきこえます。左右それぞれがダブル以上になっています。4人のメンバーですから2人と2人で両サイドに分けると頭数のバランスがとれ、実際の音もそんな印象のバランス感がうかがえます。あるいはそれ以上にオーバーダビングをしてこの厚みのある声の音像を獲得しているかもしれません。
まんなかにボーカルが出てくるところ、存在感があります。でもまんなかからリードボーカルが鳴る定位は一時的なもので、恒常的には左右に分かれたボーカル群像のバランスになっているのが、よくも悪くもこの楽曲の主旋律のラインを雲に化かすような、独特の神秘性につながっていると思います。その点、ほぼこの曲を同時期に録音したバリー・マクガイアバージョンを聴くとリードボーカルのラインがはっきりします。
左のほうにしゃくしゃくとギターのライン。和声と質量感をささえるストラミング。
右のほうにドラムやベースが寄っているようでしょうか。ダツっ!とコンプレッション感のある、みっちりしたドラムのサウンドにずぅんと唸るようなベースの音色が妖しく絡みます。
間奏の独特の笛の音色はアルト・フルートだそう。しゃくりあげたりずり下げたりするポルタメントの奏法、独特のポジションの低い響きのボディがこの楽器が一体なんの楽器なのか、聴く者の好奇心までもしゃくります。この楽曲の荘厳で妖艶な印象を支える花形です。バリー・マクガイアのバージョンでは間奏はハーモニカが入っています。そちらも、寒さ厳しさと「夢」を対比する曲想にフィットしています。
楽器類をみな右に振ってしまって、左をリードボーカルとバッキングボーカルにするハードな定位。ハーモニカも左です。バリー・マクガイアののねっちりと低いところにはりつく声の存在感は抜群です。ニュー・クリスティ・ミンストレルズとして『グリーン・グリーン』(童謡としても親しまれるあの曲です)を歌ったインパクトある声の主もこのバリー・マクガイアです。
青沼詩郎
参考Wikipedia>California Dreamin’、夢のカリフォルニア (曲)、ママス&パパス
参考歌詞サイト 世界の民謡・童謡>夢のカリフォルニア California Dreamin’ 歌詞の意味・和訳
『California Dreamin’』を収録したThe Mamas & The Papasのアルバム『If You Can Believe Your Eyes and Ears』(1966)