Can’t Buy Me Love The Beatles 曲の名義、発表の概要

作詞・作曲:Lennon-McCartney。The Beatlesのアルバム『A Hard Day’s Night』(1964)に収録。

The Beatles Can’t Buy Me Love(アルバム『A Hard Day’s Night』収録、2009 Remaster)を聴く

言わずと知れた、というカンムリがこの曲ほどふさわしいものもそうないでしょう。ビートルズの人気を知らしめる決定打といっていいのかタイムスリップして当時をみてみたい。

改めて聴いてみて意外だったのが、「ハモっていない」こと。ずっとユニゾンしていますが、いわゆるビートルズサウンドらしい「おしるし」としてのボーカルハーモニーがありません。

ユニゾンがハーモニーの一部だということもできるでしょう。リードボーカルはポールとのことですが、ほぼ全編にわたって同じ旋律をダブルしているの、これ、ジョンでしょうか? ポールによる二度録音じゃないよね? 同じ音程を伸ばすところなど、波長がそっくりかさなって揺らぎが「しん」とするくらいにシンクロするのも感じるし、語尾やしゃがれ方の質感がそれぞれに良い意味で「ばらばら」なところがあります。やっぱりポールのダブルじゃなくて、二人の違った人がユニゾンで一緒に歌っている感じがします。シャウトなんて一本一本のボーカルトラックの違いが顕著に出ますし、ラストの歌詞のアタマ「Can’t」は片方が言いそびれたのか意図的に省略したのかわかりませんがひとつのトラックのみが「Can’t」を唱えて、もう一方は「buy me」……から歌っているように聞こえます。

このユニゾンのゴリ押しがこの楽曲に至高の勢いを与えています。

面白いのが、ギターソロまでユニゾン:ダブルして同じ旋律の音を重ねているところです。もうこの曲は「それ」で行くのですね! いいぞ! 世界獲れるぞ!(獲ったね!)

4分音符をグングン前に出すベース。ドラムはでハイハットでなくタムの連打で鼓舞するところの使い分けも聴きどころです。

英語の正しい訳づけを担えるような者では私は決してありませんが……お金で愛は買えないし、お金は僕に愛を買い与えてなんてくれやしないぜ! というニュアンスを勝手に感じます。言葉のウィットを感じるのです。このセンスだよね。誰にでもわかるし、深みがあって、クスリと笑えもするし、ド正論でうなずけるし、鋭さがあって潔いのです。音楽の勢いと言葉のキレ、潔さが相乗しています。世界に轟くわけです。

お金を擬人化してるみたいに感じるのは私の間違った解釈かどうかわかりませんが、お金は意思をもって人間を操るのでなく、お金を左右して人間がおのれの自由を行使するのです。あるいはお金が意思を持っている、みたいな風刺、皮肉だったり? 「読みすぎ」ですかね。

青沼詩郎

ザ・ビートルズ ユニバーサルミュージックサイトへのリンク

参考Wikipedia>キャント・バイ・ミー・ラヴ

参考歌詞サイト KKBOX>Can’t Buy Me Love

『Can’t Buy Me Love』を収録したThe Beatlesのアルバム『A Hard Day’s Night』(1964)

参考書

ビートルズを聴こう – 公式録音全213曲完全ガイド (中公文庫、2015年)

ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『Can’t Buy Me Love(The Beatlesの曲)ウクレレ弾き語りとハーモニカ』)