まえがき
デシデシと轟くエレドラ、キラキラと夜空に輝きをふりまくシンセ。エレキギターのカッティングの身のこなしの軽さよ。テレビアニメのタイトルをサビに含め、暗躍する使命感と疾走感を兼ね備えた曲調で強く印象付けます。角松敏生さんがプロデュースした杏里さんのアルバム『Timely!!』収録バージョンの『CAT’S EYE』は異なるアレンジで、ややテンポを落とし、ラテンパーカスやグラマラスなベースのサウンド、熱いブラスのサウンドなどが堪能できます。アルバム素晴らしいのでそちらもぜひ1枚通してご鑑賞ください。
CAT’S EYE 杏里 曲の名義、発表の概要
作詞:三浦徳子、作曲:小田裕一郎。シングルバージョンの編曲は大谷和夫。杏里のシングル、テレビアニメ『キャッツ♥アイ』(1983)主題歌。アルバム『Timely!!』(1983)に異なるアレンジで収録。
杏里 CAT’S EYE(『ANRI The BEST』収録)を聴く
情報量の多いオケ。混み入った無機物的な質感のデジデジっとしたサウンドは都市の構造物の密林を思わせます。
半音進行で階段などをひらひらと舞うかのようなストリングス、かとおもえばブォーっと低域のブラスがエンジンをふかすかのよう。時折、シンセにかけられたエフェクトなのかなんなのか、まるで飛行機が行き交う際のジェットエンジンのような轟音をまとって聴こえます。
杏里さんのダブルトラックのボーカル。それに字ハモのボーカル。そして「Woo」といった字ハモを外れるコーラスとボーカルトラック群も厚みがあります。
速めのテンポですが16分割する残像のようなものが常に薫っており。すべてが前面で鳴っていたらそれこそカオスでしょうが、奥行きがありビルの隙間から時折、また奥のビル群が見切れるのをスピードある電車に乗って眺めている気分になります。
エンディングのサビの繰り返しを執拗に、前のサビのリードボーカルが次のサビの頭にクロスしながらフェイドアウトがかかって遠のきます。ライブとかで延々とサビを繰り返して一体になって盛り上がりたいですね。杏里さんのボーカルにかかるディレイが登場人物の残影を表現するかのよう。
こちらの情報量が密なシングルアレンジ、編曲は大谷和夫さん、SHŌGUN(『男達のメロディー』好きです)のメンバーでした。西城秀樹さん『Young Man (YMCA)』の編曲なども担当されています。
『Timely!!』収録のアルバムバージョン
シングル版ではサビ明けにエクササイズがはじまる?!ところにone, two, three, fourのカウントがありますがアルバム版ではド頭にカウントがあります。
ドラムの生演奏のニュアンス、解像度に満ちた迫力。ベースのスラップのトーン、スポットライトをひきつける猛烈なソロプレイ。腕利きたちの演奏の魅力が爆裂。
杏里さんのリードボーカルのディレイの無垢なこだまが印象的で、エンディングはこのディレイの尾鰭に続いてすかさず次曲『WINDY SUMMER』に続きます。息してる場合じゃないぜ。
青沼詩郎
シングルバージョンの『CAT’S EYE』を収録した『ANRI The BEST』(2000)
アルバムバージョンの『CAT’S EYE』を収録した『Timely!!』(1983)
ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『【寸評つき】暗躍のきらめき CAT’S EYE(杏里の曲)ギター弾き語り』)