Get It On T. Rex 曲の名義、発表の概要
作詞 ・作曲:Marc Bolan。T. Rexのアルバム『Electric Warrior』(1971)に収録。
T. Rex Get It On(アルバム『Electric Warrior』収録)を聴く
ハァハァ云って喘いでいるみたいなボーカル。ノドの中にマイクがついていてそこから直接体感の知覚がリスナーに流れ込んでいるみたいな気分になります。麻薬的。享楽的。刹那的でアブない雰囲気です。
音数が多いのにビックリ。ギターのゴモゴモいったパワーコードの8分割のダウンストロークはもちろんですが、左の方に開いてピアノもこの伴奏に協調している感じ。時折ピシャンとグリッサンドで華やかします。
ゴモゴモいったパワーコードのほかに、1拍目ウラと3拍目オモテあたりを強調するキレの短くてカラっとしたキャラクターのギターがいます。それからときおり伸びやかで鋭いサスティンのオブリガードが立ち上がる。刻んでいるパートと同じトラックなのかどうか。
ドラムにパワーがあってオープニングから右側にインしてくるときのインパクトがでかいです。ベースはまろやかな耳あたりですがよく動く。終始、ペンタトニックスケールを思わせる動きで腰を浮かせて踊り続けます。
サックスが随所でオブリガード。ブリっとギラっと艶めくサウンドです。
ストリングスもヒィンと糸を引きます。抑揚の効いたベーシックによくなじんでいます。メロトロンなどのサウンドじゃないよね? 生録りしたのでしょうか。ギターのブリッジミュート感なのか、タイトに抑えられたヴァースの伴奏の印象がマーク・ボランの吐き出す妖艶なボーカルを引き立てます。
ボーカルトラックが厚いし入り混じる。まるで乱交パーティの様相です。へばりついて入れ替わる。かと思えばまだいる。後半のほうのコーラス“Get It On”のフレーズなどは一番下、そのオクターブ上、さらにそのオクターブ上で同じモチーフを協調します。3Pかよ。ヴァースの「woo〜ん」……と念仏が私の脳内に輪廻するみたいなボーカルも印象的です。このボーカル群、全部一人でやっているのかしら。
この音数の統率をとる執念とリーダーシップに卓越を感じます。
快楽が脳天を突き抜ける刹那性は、地道に細部にまでこだわり通す肉体があるからより光るのでしょう。
青沼詩郎
『Get It On』を収録したT. Rexのアルバム『Electric Warrior』(1971)
ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『Get It On(T. Rexの曲)ギター弾き語りとハーモニカ』)