ハーモニカと来ればだいたい銀色ですがモデルによっていろんな色もあります。

銀色のハーモニカ 安田成美 曲の名義、発表の概要

作詞:松本隆、作曲:細野晴臣、編曲:細野晴臣・萩田光雄。安田成美のシングル(1984)。

安田成美 銀色のハーモニカを聴く(『安田成美 コレクション』収録)

シンセベースとキックのストロークの存在感が圧倒します。それと対になって負けないストリングスが麗しく、潤わしい。サウンドの比重はこの3本柱が占めます。

はかなげで、少女のあやうさそのもののような安田成美さんのボーカルがカッチリとしたプログラミング主体に思えるオケに乗って浮遊します。イルカと戯れているみたいです。 “イルカの群れが星空へと ジャンプしながら走ってた”(作詞:松本隆)。夜の海と、高らかに跳ぶイルカの幻想的な映像が脳内に立ち上がります。

ケモノだかこの世の生物なのだかわからない「鳴き声」のようなものが飛び交います。ケラケラ、チュンチュン。キュイッ。「風の谷のナウシカ」の安田成美さんのイメージのせいか、私は猛烈に“ナウシカ”に出てくるオームを想像しました。

でももうちょっと落ち着いて可能性を探ってみると、シンプルにこれは歌詞に登場する「イルカ」の表現なのかもしれません。イルカの鳴き声ってイルカのイメージとして強い成分かといわれると私の場合はそうでもないのですが、ある時代以降の水族館がテレビやメディアのCMなどでイルカが鳴く様子を映した部分を含ませて宣伝しているのをみたことがあり、それ以降「イルカの鳴き声」が「イルカ」のイメージの一部としてある程度(それ以前と比べて、という程度ですが)私のなかに定着したように思います。

ナウシカを思わせるくらい、おとぎのなかの空想上の生き物の鳴き声に思えるくらい、神秘的な「鳴き声」です。いえ、「鳴き声」と決めつけてはいけないかもしれませんが……

“私の胸も妖しく揺れるのよ”(作詞:松本隆)と、歌詞が醸すイメージも妖しい、というか危うげです。胸は心や感情の象徴でもあります。動きやすい、変わりやすい少女の心情を言っている気もしますし、身体的な成熟とあどけない心の同居した希少な普遍を歌っている気もします。

和声進行がものすごくあやういのです。なんだこれは?! と頭が混乱しそうになります。妖しい少女の胸に翻弄される私。和声をやたらめったら強調する、目立ったパートがあまりいないのです。シンセベースがかろうじて和声の道筋を示します。ストリングスが星空にかかる夜の雲のようによぎり、イルカの声がチュンチュンと行き交い、安田さん演じる少女が浮遊する神秘的な情景です。

細野晴臣さんがパーソナリティ(DJ?)をするラジオ番組でDaisy Holidayでレギュラーで流れている、スタンリー・ブラックの『The Song Is Ended』を想起させるサウンドを内包しています。その潮流の先の夜の大海で、後世のイルカが高く飛ぶのです。

少女のような妖しい胸の動きを雄弁する安田成美さんの歌声が私の小さな印画紙に水飛沫をほとばしらせるのです。

青沼詩郎

参考Wikipedia>安田成美

参考歌詞サイト AWA>銀色のハーモニカ

安田成美 公式サイトへのリンク

『銀色のハーモニカ』を収録した『安田成美 コレクション』(2013)