HAPPY BIRTHDAY THE BLUE HEARTS 曲の名義、発表の概要
作詞:河口純之助・甲本ヒロト、作曲:河口純之助。THE BLUE HEARTSのアルバム『HIGH KICKS』(1991)に収録。
THE BLUE HEARTS HAPPY BIRTHDAY(アルバム『HIGH KICKS』2010年デジタル・リマスタリングCD収録)を聴く
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世界で最も有名で最も回数多く奏でられたり歌われたりしていると察せられる『ハッピー・バースデイ・トゥ・ユー』という曲があります。誕生日ケーキに立ったろうそくの火を主役が吹き消す直前に歌うやつですね。
ハッピー・バースデイというお祝いの主題は世界の普遍なのでしょう。ブルーハーツ以外にも数多の表現者がこれを主題にして曲を作って発表します。曲のタイトルが直接的にハッピー・バースデイといったものでなくても、曲の内容が誕生日のお祝いの意図が色濃く反映されたものであったり、あるいは作曲のきっかけ(動機)は大切な誰かの誕生日であったとして、曲の内容としてはそれほどあからさまに「誕生日おめでとう」的な内容ではないものも多くあるでしょう。そういう曲もまた機知や比喩に富んでいてステキです。
ザ・ブルーハーツの『HAPPY BIRTHDAY』は曲のタイトルも曲の中身もストレートに誕生日おめでとうの意思・意図を表しています。
突き抜けるようなまっすぐなビートとテンポ。ドラムスのエイトビートのライドシンバルなんかの忙しいこと。ストロークの弾幕を張るみたいに私の目を覆い蜂の巣にしてしまいそうです。左寄りのベースがマシンガンダンスを踊る私の足元の地盤を固める……あるいは足元を狙ってさらにストロークの雨を浴びせます。
ギターが右寄り定位。ギュイーンと爆裂感のあるコシと伸びのあるストロークがグリグリ楽曲を前に押し出します。
三位一体になったギターベースドラムに、白井幹夫さんのものと思われるオルガンが加わり背中を暖かくします。ときおりジャンボジェットか何かが急に私の背後にテレポーテーションしてきたかと思うくらいにおぞましく強烈な低音がグワンと立ち上がりますがオルガンのグリッサンドの低音域のせいでしょうか。竿物プラスドラムのバンドメンバーを暖かく見守るかと思えば、時折鳩やカラスを驚かせて追い払ってケタケタ笑うみたいなモーションでバンドにハッパをかけます。
甲本さんのリードボーカルはメロディラインの正音程の0.1ミリ上に線を引くような絶妙な高揚感があります。上ハモなどにあらわれるのが真島さんのボーカルでしょうか。きれいな三度ハモで純朴・実直なお祝いの意図を表現するかのよう。
曲のエンディング手前で“誕生日おめでとう”の主題・本意そのもののフレーズでビートを解放。ゆっくり確実に主題のラインをマイクに流し込み、最後の一息でビートの大フッカツ。シックスの和音でふわっと茶目っ気を薫らせてろうそくの火のように潔くふっといなくなるみたいに誕生日のページのところにしおりを挟んで私の心の手帖を一旦閉じます。さてどんな日になるのかな。
青沼詩郎
参考歌詞サイト J-Lyric>HAPPY BIRTHDAY
THE BLUE HEARTS 徳間ジャパンコミュニケーションズサイトへのリンク
『HAPPY BIRTHDAY』を収録したTHE BLUE HEARTSのアルバム『HIGH KICKS』(オリジナル発売年:1991)
ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『HAPPY BIRTHDAY(THE BLUE HEARTSの曲)ギター弾き語りとハーモニカ』)