Have You Never Been Mellow そよ風の誘惑 Olivia Newton-John 曲の名義、発表の概要

作詞 ・作曲:John Farrar。Olivia Newton-Johnのシングル、アルバム『Have You Never Been Mellow』(1975)に収録。

Olivia Newton-John Have You Never Been Mellow そよ風の誘惑を聴く

そよ風になびくティッシュペーパーかというくらいにソフトなヴァースの歌唱が印象的です。対するコーラス(サビ)でボーカルトラックが極めて厚くなり対比が利きます。一体何トラック込められているのでしょう。現代社会に疲れた集団への天の声でしょうか……

タシっとタイトで実直なドラムスが点を止めます。フィルインでちょっと手数を見せる。ベースはプレーンな音色で明瞭な輪郭をしており、音楽の基盤が風に流されてあいまいにならないようにつなぎとめる縁の下の力持ちです。。

きらきらとアコースティックギターの音色がきらびやかです。12弦ギターなのかな。何本か入っているようにも聴こえます。とにかくリッチ。

イントロやエンディングなどで楽曲のカオをリスナーに刷り込む木管楽器の音色はオーボエかな。水面に浮かぶ1円玉かアメンボかというくらいに、可憐で奥ゆかしいにも関わらず決して埋没しません。

エレキットリック・ピアノがじわる響きと輝きを添えます。アコギの絢爛な響きと渾然一体に私が感じているのかもしれませんが、ハープが時折風に羽根を舞わせるかのようにグリッサンドで過ぎる影があったように思います。ストリングスもいますがあまりこれみよがしな動きやクセの強いモチーフでは主張しません。そよ風のような、空間をわたる透明なエネルギーです。

2ヴァースに入ったときフルートのカウンターメロディが耳をひきます。すこしカクカクとした旋律音程の移ろいが特徴的で、「あれ?もしかしてメロトロンなのかな」などと私は思いましたが生楽器でしょうか。

ブリッジのところでE♭メージャーのモーションを混ぜて清涼感。でもE♭→B♭/D→Cの下行するベースの動きとともにしれっと元のCメージャーに戻り、CメージャーのⅡm-V(トゥー・ファイヴ)の動きのコーラス(サビ)に接続します。

コーラスの折り返しのところの歌詞“inside you”のところでボーカルメロディがなんと9度跳躍しています。これはそよ風にしては相当アクロバティックです。つむじ風かよ!と。

肩のチカラを抜けよ、リラックスしなよと語りかけるメッセージソングなのかもしれませんが、ソファーに深く沈んで左うちわ目線で言われて心に届くというものでもありません。それなりのメッセージの熱量がリーダーには必要なのです。オリビアらのパフォーマンスは爽やかで清涼感に満ちていますが、要所の意匠やサウンドに込められたテクスチャやレイヤーの情報量は実に豊かですし、発想や心・からだの動きが自由です。かといって無秩序とも違う堅牢さもあります。名曲たるゆえんでしょう。

青沼詩郎

参考Wikipedia>そよ風の誘惑

歌詞の参考サイト 世界の民謡・童謡>そよ風の誘惑 歌詞の意味・和訳 日本では『愛は眠らない』として日本語カバーされたポピュラーソング ←歌詞の持つ意味、日本でのカバーや扱われかたを概説しています。そうそう、電話の保留音でこの曲がかかると……今まではなんとも思いませんでしたがなんだかちょっと今後はイラっとしてしまうかもしれません……。

Olivia Newton-John(オリビア・ニュートン・ジョン) 日本公式サイト(ヴァージン・ミュージック)へのリンク

『Have You Never Been Mellow』を収録したOlivia Newton-Johnのアルバム『Have You Never Been Mellow』(1975)

ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『Have You Never Been Mellow そよ風の誘惑(Olivia Newton-Johnの曲)ピアノ弾き語り』)