『Hush』いろいろ 最初に提供を受けたBilly Joe Royal、Joe Southセルフカバー、Deep PurpleやKula Shakerのカバー

ナーナナーナー、ナナーナー、ナナーナー!のコーラスが印象的なロック名曲、オリジナルはDeep PurpleでもなくKula ShakerでもなくBilly Joe Royalでした。ソングライターはビリーのレギュラー作家でプロデューサーでもあるJoe Southです。

オリジナルリリースのビリーの実演は高めのキーの歌声があどけないかとおもいきや、曲の進行とともにエネルギーがどんどん高まり圧巻のシャウトをみせます。

ディープ・パープルのものはオープニングに犬の遠吠えのような音声が含まれ、静寂から真実の抽出を試みているかのよう。オルガンのプレイとサウンドが渋く、かつ華があります。歌声にも振れ幅があり、演奏にメリハリがあって良いですね。

クーラ・シェイカーの実演は泣く子も叫ぶ?! 一発で存在感を示すパンチがある歌・バンドのサウンドにキレがあり痛快です。

提供作家であるジョー・サウスの実演が私は好きで、全体的にアナログコンプレッションしたような増幅感のあるホットなサウンドが快楽的です。

Hush Billy Joe Royal 曲の名義、発表の概要

作詞・作曲:Joe South。Billy Joe Royalのシングル、アルバム『Billy Joe Royal featuring Hush』(1967)に収録。

Billy Joe Royal Hush(アルバム『Billy Joe Royal featuring Hush』収録、1967)を聴く

歌唱にダイナミクスがあっていいですね。静けさ、秘密……をおもわせる、主題の「Hush」と唱えるところの軽さ、そしてシャウトに至る振れ幅が狂気的でもあります。

左にオリエンタルな雰囲気のギターリフ。楽曲『Hush』の独特なアイデンティティの最たる構成要素の一つでしょう。右にドラムとベース。ベースは腰の高い感じのサウンド。ドラムもパカパカと同様に腰の高い感じ。ビリーの歌唱自体も、ちょっとキー高めの独特のテノール系のかろみがある声質で、バンド全体、サウンド全体がロー落ちした感じのアナログサウンドという感じがします。

左にぴー!とうなるのはハーモニカなのか、あるいはオルガンのリードトーンがハーモニカみたく聴こえるのか。バックグラウンドボーカル、あと金管の類も入っていて左の定位に寄っているかんじでしょうか。音数豊かなのですが前述したように、サウンドには全体に腰の軽さがあります。踊りたくなりますね。

Deep PurpleのHush(アルバム『Shades of Deep Purple』収録、1968)

冒頭は静けさ。遠吠えはどこからか犬の声を採取したの?あるいはメンバーが自分で声帯模写したのでしょうか。楽曲のオープニングから歪んだギターのパンチががつんと来ます。オルガンのロータリースピーカーがカラカラ回っているような乾いたサウンドが縦横無尽。太いサウンド、はげしくて闊達なドラムが圧巻。

Kula ShakerのHush(アルバム『Kollected: The Best of Kula Shaker』収録、2003)を聴く

右にダウンビートを強調するエッジーなギター。左にワウギター、そしてオルガン。爽快で快調な曲調。ミクスチャーっぽいというのか、シックスティーンの分割を強調していてファンキーで勢いがあります。シェーカーやタンバリンが16分割を彩ります。エッジの強いボーカルとあるいはファルセットで随所をスっと抜く、身のこなしが無敵感。90年代ブリットポップの文脈でクーラー・シェイカーを言い含める言説もあるようですが、そこからはみださんばかりの個性にあふれています。

元は1997年のシングル曲としてリリース。デビューアルバムの『K』の再発バージョンなどにボーナストラックとして『Hush』が付加収録されているようです。

Joe SouthのHush(アルバム『Games People Play』収録、1968)を聴く

これ12弦ギター使っていますでしょうか。左右のトラックにあらわれるリフ。これだよ!ギターの音がつよい!こういう音はセミアコースティック系のギターのサウンドでしょうか。

バックグラウンドボーカルのレスポンスも移勢がよいです。エンディングではまるでわがもの顔だ。リードヴォーカルも余裕があり自分の庭のような気さくさでエネルギーを燃やします。さすが自分の書いた曲よ。

ドラムのリバーブ感。左のほうから強いサウンドで金管がクレシェンドしてくる。

長いエンディングでバキバキとギターがリズミックなリードをとりながらベースの深く歪んだサウンドとドラムが残ってフェードでエンディングしていきます。

どこの国ともつかないギターのリフ、そしてナーナナ……のコーラスは発明です。

青沼詩郎

参考Wikipedia>Billy Joe RoyalHush (Billy Joe Royal song)Joe South

参考歌詞サイト Genius>Hush

Billy Joe Royalの『Hush』を収録したアルバム『Billy Joe Royal featuring Hush』(1967)

『Shade of Deep Purple』(1968)

『Kollected: The Best of Kula Shaker』(2003)

『Games People Play』(1968)

ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『【寸評つき】受け継がれる秘密『Hush(Billy Joe Royalの曲)』ギター弾き語り』)