まえがき

メランコリックでセンチメンタルなのにきわめて明るくブライトなアコギのアルペジオが主たるリズム要素でベースレス(だと思いましたが違いました、入っています)、ドラムレス。コヨコヨとくすぐられて笑い声をあげるみたいな特徴的なエレキギターがサウンドの個性の要になっています。ワウペダルを猛烈に踏むとそっくりな音が出ると思いますが、実際の録音手法やいかに。モーグ・シンセサイザーとテレキャスターをつないだとWikipediaに記述がありますがどういう接続・録音セッティングなのでしょう。 アコースティックバラードの鑑のようなサウンドです。ストリングスがいつのまに奥行きを添えており、繊細で耽美な歌唱の描線を際立たせます。エンディングの上行音形で主音にリーチするボーカルメロディ、その歌唱は楽曲の聴きどころハイライトのひとつでしょう。原曲リスニングに耽ってください。

If Bread 曲の名義、発表の概要

作詞・作曲:David Gates。Breadのシングル、アルバム『Manna(マナ〜神の糧)』(1971)に収録。

Bread If(アルバム『Manna(マナ〜神の糧)』収録)を聴く

大事に飼っているインコに優しく話しかけるみたいな歌唱にメロメロです。素晴らしいボーカルですね。繊細で優しい高音、エンディングの最後の一音とその長い音符が、楽曲のコンパクトなサイズとともに儚く、まぶしいほどに鮮烈に青く晴れて散っていってしまいます。行かないでくれー!

親指の腹が巻弦の表面をこする質感まで克明に記録されたような、ブライトで芳醇なアコギの音色が耳福です。

適当なイヤフォンで取り敢えず適当に聴いたときはうっかりベースレスだと思ってしまったのですが、ヘッドフォンでちゃんと静かな場所で聴いたらボゥン、ズゥンと深い音色のベースパートがいました。アコースティックのコントラバスで弾くベースの音色でしょうかね。

エレキギターのポヨポヨした音色の異端たるや。不思議で人工的なのに、抱擁力に満ちており自然な楽音となじむコミュ力?はなんなのでしょう。もちろんこのポヨポヨ音も「楽音」には相違ありません。

ためいきが出る美しさ。清涼感だけが残ります。あれはなんだったんだろうなーと振り返らせる出来事ってだいたい時間的には一瞬だったりしますね。

青沼詩郎

参考Wikipedia>イフ (ブレッドの曲)ブレッド (バンド)

参考歌詞サイト KKBOX>If

『If』を収録したBreadのアルバム『Manna(マナ〜神の糧)』(1971)

ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『【寸評つき】アコースティックバラードにアクセントのサウンド If(Breadの曲)ギター語り』)