オールディーズと日本のバラエティ番組はよく結びつく
だん、だらん、だらららららららららん……(ちゃん、ちゃらん……とか人により色々に聞こえる模様)猛烈に聞き覚えがあるのはテレビ番組『マツコの知らない世界』に使われたせいでしょうか。バラエティやコント番組、お笑い番組にオールディーズな洋楽が使われることって非常に多い気がします。『タモリ倶楽部』などの印象も私の記憶に大きな影響を与えているように思いますが……
Ⅰ、Ⅵm、Ⅳ、Ⅴのシンプルかつこれ以上なしという循環コードを貴重にしたイントロの和声がシンプル。ヴァースはシンプルなコードづかいながらも低音位とボーカルメロディの関係の意匠が絶妙で和声の響きのつながりのフィールに変化をもたらします。愚直なほどのシンプルな和声であるにしても、中間で元調のE♭から属調のB♭に転調するなど、音楽の意匠的に気が利いていておしゃれなところです。近親調への転調ってすごく自然で良いですね。ボーカルの熱量を上げるための半音や全音上への転調などよりずっと私好みです……とは一言余計か。
ぽつねんとした純朴なリンダ・スコットの歌声がもちろん魅力の中核で、イントロでキックを抜いた浮遊した印象のドラムのリズムパターン、しんしんと流れ星が降り注ぐようなライドシンバルの響きがロマンティックでもあります。中間〜後半あたりからはストリングスやフルート族のダイナミクスが質量を増してくるのもこの曲をポップソングとしての長命さを与えています。
原曲はブロードウェイ・ミュージカルの『Music in the Air』(1932)のために作られたもので、リンダ・スコットもカバーということになるでしょうが数多あるこの曲のカバーのなかでも世の人の記憶を占めているのが彼女の歌声だといって良いのではないでしょうか。
I’ve Told Every Little Star Linda Scott 曲の名義、発表の概要
作詞:Oscar Hammerstein Ⅱ、作曲:Jerome Kern。Linda Scottのシングル、アルバム『Starlight, Starbright』(1961)に収録。元々はブロードウェイ・ミュージカル『Music in the Air』(1932)のために作曲されたのがオリジナル。
Linda Scott I’ve Told Every Little Star(アルバム『Starlight, Starbright』収録)を聴く
ベースの音色が太いです。冒頭のスキャットはだん、だららん、みたくもきこえますが、ちゃん、ちゃらん……とも聞こえる……発音を書き起こすこと自体虚しくなりますが、いずれにせよ星の輝きに目線をやっているジャケット画像のリンダの姿をそのまま象徴するようなスキャットが千金です。
ギターのストロークがかるく、しかしはずむニュアンスを出します。ドラムスのキックはどこにいるねんという軽さですが、途中のソロのところでしっかりキックの存在を証明。
中間部のオーケストラがリードをもっぱら掌握する間奏はたったの4小節間ですがインパクとがあります。ピッコロが上のほうの音域にいるでしょうか。星の浮かぶ空の高みを思わせます。
青沼詩郎
参考歌詞掲載サイト 世界の民謡・童謡>星に語れば I’ve Told Every Little Star テレビ番組「マツコの知らない世界」テーマ曲として再注目 原曲にはリンダが冒頭で魅せる印象的なスキャットがないことを明かしています。原曲の歌唱はポール・スモール(Paul Small)。ボーカルメロディも結構違うように感じられます。
『I’ve Told Every Little Star』を収録した『Starlight, Starbright』(1961)