スタンドだったりキャラの名前だったり
ジョジョが大好きな方とジョジョシリーズの話をすると、洋楽曲やアーティストの名前にちなんだ固有名詞が目白押しに登場するものですからリスニングの楽しみが広がります。
作者の荒木飛呂彦先生が実際に作品に登場するキャラ名やスタンド名の元になっている楽曲を聴きながら漫画の仕事をしているのかなと想像します(Wikipediaなど見るに、洋楽を傍に実際にお仕事に取り組んでおられるであろう記述があります)。
Bob Dylan『Knockin’ On Heaven’s Door』もまたジョジョシリーズにちなんだ……あ……逆か、Bob Dylan『Knockin’ On Heaven’s Door』にちなんだ能力がジョジョシリーズに登場します。聴きましょう。
Knockin’ On Heaven’s Door Bob Dylan 曲の名義、発表の概要
作詞・作曲:Bob Dylan。Bob Dylanのアルバム『ビリー・ザ・キッド』(1973年、映画『ビリー・ザ・キッド/21才の生涯』(英題:Pat Garrett & Billy the Kid)サウンドトラック)収録。
Bob Dylan Knockin’ On Heaven’s Door(アルバム『ビリー・ザ・キッド』収録)を聴く
ボブ・ディランのしゃがれた声。言葉尻の消え入りそうな息の切れ側を聴くとせつない気持ちになります。
天国への扉を叩く。たったいま召されそうな命の懇願や切望が一瞬であるのを思わせる曲のコンパクトなサイズ感。フェードがかかって2分半で幕を閉じてしまいます。おれの人生、なんだったんだろう。
映画『ビリー・ザ・キッド』への提供曲。登場人物が召されるのと楽曲の描写が重なります。バッジからも銃からも解き放たれるときが来たのを嘆くかのようなヴァース。ボブ・ディランの歌唱は淡々としています。フェードさえかからなければ延々と聴いていたい。
左にエレキギター、右にアコースティックギターの布陣で私の耳をはさみ撃ち。
オルガンが漂い、スティールギターの類もいるかしら。ストリングス、特にチェロの人声のような質感は勝手ながら私(筆者)的年代だとOasis『Whatever』のサウンドなど思い出します。
バックグラウンドボーカルが良いんです。バックグラウンドボーカルのサスティンが消える瞬間が儚い。
カツっとディレイがかかったスネアリムが特徴的で、録音作品として独特の陶酔感をくれます。あるいは今際の際をさまよい、遠のく知覚の演出なのか……
ジョジョの荒木飛呂彦先生にも、この曲がなんらかの感化をもたらしたのでしょう。ミュージシャン同士でも『天国への扉』の影響は大きいようで、ガンズ・アンド・ローゼスやエリック・クラプトンもカバーしています。
ガンズ・アンド・ローゼスは曲の持つサイズのポテンシャルを引き出し……
エリック・クラプトンはレゲエ風で、召される諦観のさらに先の境地か。地獄か天国かとは別次元で、悪友と蒸留酒でもさしている気分。
ノックする扉は開き、あなただけが誘われる境地へ行くのです。
青沼詩郎
The Official Bob Dylan Site へのリンク
『Knockin’ On Heaven’s Door』を収録したBob Dylanのアルバム『ビリー・ザ・キッド』(1973年、映画『ビリー・ザ・キッド/21才の生涯』(英題:Pat Garrett & Billy the Kid)サウンドトラック)
荒木飛呂彦の新・漫画術 悪役の作り方 荒木飛呂彦の漫画術 (集英社新書、2024年)。一応漫画の未来を担うペルソナに向ける体で書かれていますが、人はみな人生の課題やミッション(すなわち「悪役」とも言い換えられる)と戦っているわけで、本書50Pには“『ジョジョ』は「人間讃歌」の漫画”とも書かれているように、漫画家を志すのでない人(私もそうであるように)が読んでも具体的な漫画術(ノウハウ)の惜しみない開陳を通して激励を貰う気分になります。音楽好きのあなたもぜひ読んでみてください。