レジェンドが集まって何しとん

ボブ・ディラン、ジョージ・ハリスン、ジェフ・リン、ロイ・オービソン、トム・ペティ。すでに名を成すレジェンドが大集合し、余裕をかまし、お戯れ。自由な気風が伝わってきます。彼ら自身も相当楽しんで制作したのかな?と想像しますが、一人ひとりでも甚大な個性の強さを放つ彼らですから些細な喧嘩をしたりもするのでしょうか……(勝手な想像)。

元々ジョージ・ハリスンの『ディス・イズ・ラヴ』B面曲を録音するために集結したところから、そのいきさつを利用してそのメンツをオリジナルとするグループでアルバムも作ってしまえとワーナーが依頼したのだとか。そのときに録音していたのが『Handle with Care』で、アルバム『The Traveling Wilburys, Vol.1』の1曲目に収録されます。

オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダを匂わせるジョークですか?とリスナーをにやつかせる、うねるグルーヴとトム・ペティのしゃがれた感じのどかなリードボーカルが印象的な本曲『Last Night』。ブリッジでロイ・オービソンにリードボーカルが替わります。そのシンガーが出てくる箇所はそのシンガーが作曲や作詞を担当する、というレノン・マッカートニー的な合作名義なのでしょうか。ひと声発せば自分の雰囲気に持ちこみリスナーをかっさらう華のある個性揃いが憎いです。スネアなのかティンバレスなのかカンカンとリズムのアクセント。タンバリンやサックスが楽曲の雰囲気の明度を上げます。コミックバンドのような「扮装」を感じます。

バンドにはサングラスを着用した「ウィルベリー姓の異母兄弟」という設定があるそうですが、どこのどなたかごまかしようのない個性が丸見えなのが可笑しい。

海賊版にVol.2を騙られてしまったのを受け入れて(?)、本曲を収録したアルバム“Vol.1”の次作はいきなり“Vol.3”のナンバリングになっています。ロイ・オービソンは“Vol.1”を発売した年内に心筋梗塞で他界してしまうのが残念です。

日本国内の例でいったらカーリングシトーンズみたいな感じがしますね。それぞれに元々のプロジェクト(ソロやバンド)があって、その脇道として集まるからこそ獲得できる自由さ・気ままさもあるでしょう。もちろん、脇道に入っている間はそのことに「集中して遊ぶ」のでしょうけれどね。

Last Night Traveling Wilburys 曲の名義、発表の概要

作詞・作曲:Bob Dylan、George Harrison、Jeff Lynne、Roy Orbison、Tom Petty。Traveling Wilburysのアルバム『The Traveling Wilburys, Vol.1』(1988)に収録。

Traveling Wilburys Last Nightを聴く

みんなで声を合わせるのにおあつらえ向きのコーラスがシンプル。「Last night」昨夜を思う。昨夜のことを話す。昨夜、何があったんでしょうね。いいことがあったのでしょうか。

トムペティの声はけっこうねっとりして粘度があって低めのポジションです。コーラスになるとボーカルトラックの数と厚みが増して、左右に上下に音像が広がります。

シンプルな1・2・3・4のキックとスネアにポキポキしたよく動くベースが活発な印象の素地を成します。ティンバレストラックがアディショナルで入っていて合いの手をいれる感じです。カンカンとカウベルの表拍が個性あふれるメンバーの歩調を仕切ります。

ブイブイとサックスの低域がエレキベースとからみ、1,4,3,2を反復するベースラインを3度の音程でハモります。コードがシンプルですが1,4,3,2のベースラインが転回形の和声になっているのが実にシンプルかつスムースでありながら響きの「浮遊と着地」の緩急の波長を一定の間隔で醸成します。アコギの裏拍のアップストロークがスカのようなスタイルのリズムでうねり、ころがっていく曲調を演出します。

青沼詩郎

参考Wikipedia>トラヴェリング・ウィルベリーズトラヴェリング・ウィルベリーズ Vol.1

参考歌詞サイト Genius>Last Night

『Last Night』を収録したTraveling Wilburysのアルバム『The Traveling Wilburys, Vol.1』(1988)