LOTUS LOVE Yellow Magic Orchestra 曲の名義、発表の概要
作詞・作曲:細野晴臣。YMO(Yellow Magic Orchestra)のアルバム『浮気なぼくら(NAUGHTY BOYS)』(1983)に収録。
Yellow Magic Orchestra LOTUS LOVEを聴く
リードボーカルのメロディやモチーフの性格はすごくシンプルで情報量が少ないのです。歌詞の語数も決して多くない。
それとバランスをとってなのか、あるいはアンバランスをとってなのか、これでもかというくらいオケに情報量が多い。荘厳です。どこの国の音楽なのかわからない。これがイエロー・マジック・オーケストラなのだ。これぞイエロー・マジック・オーケストラなのです。
ゲートのかかったドラムのサウンドが明瞭ですし、デシ!と幅が利いてピタっと余韻が止まります。ほかのパートを邪魔せず、それでいて脳みそを沸かせる。キックとスネアが鳴るたんびに私の脳内がお祭りワッショイなのです。ハイハットの分割はおおまたぎです。フィルインするときにハネた分割のグルーヴがあらわれます。なまっている……なんていうと怒られるか、ドラムフィルインの語彙に独特のお郷ことばのようなニュアンスが宿る。これぞYMO。
オケのサウンドの質量的に多いのはストリングスっぽいサウンドでしょうか。弦楽器のボウイウングのイメージなのか、あるいはエレキギターっぽくもある音色がぐねぐねと時空が歪むみたいにポルタメントします。その両方がいる感じです。重く厳かで、下のほうに音が豊かです。リードボーカルに対して、オターブ下の字ハモのボーカルもいるなど、オケのサウンド以上にサウンドに厚く重くする工夫が込められています。

肉体らしさが希薄です。幸宏さん(愛称で失礼)の声も、文明のなかの一要素であるという平坦な扱い。平坦というか、公平なのです。ボーカルを取り入れた音楽であり、ボーカルが支配する音楽ではない。共存しているだけなのです。鳥の声もするし、機械の音もするし、人々が村祭りで歓声をあげたり踊ったりする物音も平等に存在する……『LOTUS LOVE』あるいはYMOの音楽を聴くとそんな視野の広さを思います。
シタールのモチーフやドローン音がビヨーンとうなる。ロックなのかクラシックなのか民族音楽なのか。ヘリウムで満たした体で成層圏をこえてうきあがれば、どんなものも一緒になって丸い地球なのがわかると思うのです。
渾然一体となっているし情報量も多いのですが、それでもメロディがあって言葉があって和声があってモチーフが補完しあって噛み合って3分台のサイズにおさまっているあたり、『LOTUS LOVE』は宇宙規模なYMOの音楽への導入の窓を私にくれます。蓮根の穴かな?
青沼詩郎
Yellow Magic Orchestra ソニーミュージックサイトへのリンク
『LOTUS LOVE』を収録したYMO(Yellow Magic Orchestra)のアルバム『浮気なぼくら(NAUGHTY BOYS)』(1983)
ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『LOTUS LOVE(Yellow Magic Orchestraの曲)ピアノ弾き語り』)