Love Potion No. 9 The Clovers 曲の名義、発表の概要
作詞・作曲:Jerry Leiber, Mike Stoller。The Cloversのシングル(1959)。
サザンオールスターズ Love Potion No. 9を聴く
わたしが楽曲『Love Potion No.9』を知るきっかけをくれたのは『稲村ジェーン』に収録されたサザンオールスターズによるパフォーマンスです。サザンオールスターズによる……といいつつ厳密には『SOUTHERN ALL STARS and ALL STARS』名義。桑田監督による同名映画のサントラ:OSTアルバムであり、異色作です。
カランとしたウクレレの音色がオーケストラのようにリッチ。パキン☆! と鋭くラテンパーカスがアクセントします。
率直に桑田さんの英語歌唱にシビれます。どうなっちゃんてんだよこの人、才能の塊かよ……と国民的大衆音楽ヒーローの凄みを今更ながらさらに上方修正する私。あのデタラメ英語(失礼)みたいな押韻やリズムのキレ冴え渡る日本語の歌詞、あるいは日本語と英語のチャンポン歌詞は、英語だけでもこんなに歌えるからこそあれだけ自在にふるまえるのだと今更ながら痛感します。
ベースラインとそのサウンドがキュっと締まってタイトに動き、やはり冴えていてかっこいい。要所で女声が聴こえてこれまたオシャレだな……と思ったら大貫妙子さんがクレジットされています……(まじかよ)。ウクレレ中心に構築するオケのサウンドにしてもコンパクトな編成を志向しているのが明らかな曲想(アレンジ)ですが、そこに注ぎ込まれる技量やキャラクターの質量が濃ゆいよ、濃すぎるよ!と唸り散らす私。
ラスト付近で主題の“Love Potion No. 9”の決め文句を一回“Love Potion No. 10”に変化させちゃってませんか? 捻りとアソビが効いています。これはオリジナルにはないはずのライン(歌詞)です。
この英語のカッコイイ歌の原曲、誰の曲なの? ……ということで御本家はThe Clovers。
The Clovers Love Potion No. 9を聴く
リードボーカルのクセ感、個性がキモチいい。スパイシーです。その媚薬、効いちゃいそうな声色。
ハーモニーの層が柔和で甘美です。バス・パートの声のなんと低いこと。上にリンクしたベスト盤のジャケットにはギターを持って写っているメンバーがいますが、この音源にはギターが入っていないように聞こえますがどうでしょう。ピアノがぽろぽろとかろやかにダウンストロークし、時に装飾的に転げるように鍵盤を滑り引っ掛けてコードとリズムの彩りを印画していきます。
ベースが深くてまろやかで柔和な音でまた気持ち良い。アコースティックのコントラバスベースのサウンド。対するドラムのサウンドがぱき、ぱしっと軽い。そしてカナモノのサウンドがきらびやかではっきりと高域に寄っています。モノラルでもパートがけんかせずセパレーションが抜群です。無駄のないアレンジと編成。ベーシックもメンバーのコーラスワークもすべてが噛み合っています。
私は彼らThe Cloversのレパートリーを横断的にはまだまだ知らなすぎる。コーラスグループなのかな。バンドではなさそう。ドゥ・ワップグループ的なものか、と。これから色々聴いてみたいです。上にリンクしたベスト盤にしても60曲入っています。
そのポーションが「9番」であることにどんな意味が?
ケタが変わる前の一番最後の数字であること、でしょうか。10進法のラスボス。
なんだいアンタ、お望みかい? ……しょうがねえな。ついにコレを出すか……みたいな奥の手、秘薬っぽさを「9」の数字が匂わせます。
青沼詩郎
参考Wikipedia>Love Potion No. 9 (song)、稲村ジェーン (サウンドトラック)
『Love Potion No. 9』を収録したサザンオールスターズの異色作『稲村ジェーン』(1990)。あるいは彼らにおいてはすべてが異色作でしょうか。
『Love Potion No. 9』を収録したベスト盤と思われる。The Cloversの『The Feelin’ Is Good』(2011)