まかせなさい ウルフルズ 曲の名義、発表の概要

作詞・作曲:トータス松本。ウルフルズのシングル、アルバム『サンキュー・フォー・ザ・ミュージック』(1998)に収録。

ウルフルズ まかせなさいを聴く

“まかせなさい”のリフレインがなんといっても楽曲のくれる印象の魂柱です。このまかせなさいリフレインの出だし付近だけを聴くと、トータスさんの力強い歌声の印象もあいまってか、「オレについてきなさい。大丈夫だからオレにまかせなさい」的な風合い、態度を思い起こすのです。

でもすかさず続くラインをみるにそうではありません。

“なすがまま なるがまま 吹く風にまかせなさい”(『まかせなさい』より、作詞:トータス松本)

頼りになって力強いオレにがっちりまかせなさい!ではなく、吹く風にまかせなさいと。なるようになるさ。Let It Be。あるいはLike a Rolling Stoneなのか。Blowin’ in the Windなのか。歴史に残る、名だたるロック・ソングの数多の主題に通ずる、無常感。諦観ともやや違う。あるがままを認め、受け入れること。

でもただ受け入れるだけ、待つだけでアクションを起こさない、非積極的な享受者とも違います。恵みを享受する者は、必然的に、己自身も何かしらどこかしらで与える者のRoleを果たしているはずなのです。

まかせなさいとリスナーにメッセージし、安心感や頼もしさを与えるのがこの曲のストレートな解釈ですが、リスナー一人ひとりも、誰かに向かって「まかせなさい」を言っていいんだよ。言えるんだよ。胸を張れよ。エンパワーする激励ソングでもあり、誰もがエンパワーするRoleに就くことができる勇気、希望を『まかせなさい』は含んでいます。素敵な曲たる所以です。

ギターのサウンドは鋭くもマイルドで、2拍目のウラウラに移勢の引っ掛かったリフレインがサウンド・モチーフ面での『まかせなさい』の魂柱でしょう。このリフレインをときおりベースも一緒になって音域違いでユニゾンしたりします。一体感。協調性。連帯感などを印象づけます。

Ⅵmコードのクリシェでマイナーメージャーセブンス、マイナーセブンス……と低音保続し上声の響きをくすませるほろ苦い展開の間奏の部分を経たのち、主題の“まかせなさい”を連発しつつも中間部の大サビというのか、Cメロというのか、曲調が変化する部分で想起させるのはLed Zeppelinの『Immigrant Song』。

あるいはそのバス・ドラムの轟音サウンドは私の心のエポック・ソング、The Ronettesの『Be My Baby』のようでもあります。

音楽好きを盛大にニヤつかせる展開がエンターテイメントとして大衆に開いた態度と同時にもの好き、好事家、道楽者やニッチ趣味への切り込みの深さを両立しています。ウルフルズの類稀なる魅力の一面です。

このサウンドプロデュースに一役買っているのは誰かな? 銀次さんかな?とウルフルズの名の下ひとまず連想してみるのですが『まかせなさい』ならびに収録アルバム『サンキュー・フォー・ザ・ミュージック』のプロデューサーは吉田建さんとのこと。“イカ天”の辛口審査員(?)としても名のしれた人なのかもしれません(ちょっと世代がズレていて私は同時代で“イカ天”を視聴したことがない)。吉田建さん関連作品はウルフルズのこの作品一帯以外にもこれから聴いてみたいと思いました。

“まかせなさい”をキーワードに与え合う、授け合う真理を想起させるのですが、やはり「〜さい」の命令形が頼もしい。堂々たる態度の毅然とした様子、守りも攻めも的確な意匠がシンボリックに歌・演奏で表現された快作です。

青沼詩郎

参考Wikipedia>まかせなさい

参考歌詞サイト 歌ネット>まかせなさい

ウルフルズ 公式サイトへのリンク

『まかせなさい』を収録したウルフルズのアルバム『サンキュー・フォー・ザ・ミュージック』(1998)

ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『まかせなさい(ウルフルズの曲)ギター弾き語りとハーモニカ』)