又逢おうぜ あばよ 吉田拓郎

作詞:岡本おさみ、作曲:吉田拓郎、編曲:Booker T. Jones。吉田拓郎のアルバム『Shangri-La』(1980)に収録。

吉田拓郎 又逢おうぜ あばよを聴く

的確なサウンドにしんみりとした哀愁ある吉田さんのボーカルの質感・メロディが漂います。

渡米してのアルバムレコーディングとのことです。アルバムの収録の作業を消化していき、いよいよこの特別なセッションの機会も結びが近いというところで心から吐き出されそうな言葉に思えますが作詞は吉田さん本人でなく岡本おさみさん。現実のアーティストの実際の身辺を歌にするというのは手法のなかのひとつです。また、実際のレコーディングの順序を最終的なアルバムの収録順に行うとは限りません。あとから決めれば良いのですが、作業中もあえて最終的な収録順を意識して作業を進めるという手法もクリエイティヴなやり方かもしれません。

輪郭の確かなドラムとベースは腕の確かなセッションミュージシャンの素晴らしい反射神経と語彙の引き出しの調和と競合といった印象です。右のほうに流麗なアルペジオのアコギ。左の端のほうにコードストラミングのアコギ。真ん中付近にはオブリガードを入れるギターがいぶし銀で渋いのなんの。

ピアノはコードやリズムの輪郭を要所で確かにしつつ、広い音域に水飛沫ほとばしるような清涼さみずみずしさ。

バックグラウンドボーカルがハイライトを彩り不朽の魂を思わせます。

命絶つほどの狂気ではなく

命救うほどの力でもないが

いさかいとなごみのはざまに

流れてゆけ 流れてゆけ

私の唄たちよ

『又逢おうぜ あばよ』より、作詞:岡本おさみ

音楽は生きるか死ぬかの極限状態では後回しにされがちかもしれません。しかし音楽に命を賭す人もいる。音楽の訴えに同調して行動を起こす人もいる。音楽の訴えに反抗して行動を起こす人もいる。その結果、そのしがらみの周囲で、人の命が救われたり、人の命が奪われたりすることはないとはいえません。いえ、ある。だから、実際のところ命を絶つほどの狂気でもあるし、命を空くほどの力も有する。それが主人公の云う“私の唄たちよ”だと思います。

この汗ばんだギターをおけば……

して、しばらくして繰り返しギターを手にとり唄うのです。

青沼詩郎

参考Wikipedia>Shangri-La (吉田拓郎のアルバム)

参考歌詞サイト 歌ネット>又逢おうぜ あばよ

吉田拓郎 公式サイトへのリンク

『又逢おうぜ あばよ』を収録した吉田拓郎のアルバム『Shangri-La』(1980)

ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『又逢おうぜ あばよ(吉田拓郎の曲)ギター弾き語りとハーモニカ』)