まえがき

上行音形の果てに「めッ!」に至るフレーズを締めくくるボーカルメロディの決めが鋭く轟き印象的です。まっしぐらで意思の強さを思わせる4つ打ちのキック、トリッキーで緩急のあるベースライン、情熱的で華やかなブラス、にぎやかなドゥ・ワップのバックグラウンドボーカルほか聴きどころに富む原曲がさっぱりきっぱりとした粋な憧れの人像を描きます。

め組のひと ラッツ&スター RATS & STAR 曲の名義、発表の概要

作詞:麻生麗二(売野雅勇)、作曲:井上大輔。編曲:井上大輔・ラッツ&スター。ラッツ&スターのシングル(1983)。ベストアルバム『14 CARATS』(1984)に収録。

ラッツ&スター め組のひとを聴く

マーチン(愛称で失礼します)の歌唱のはしばしまでの色気と色黒さ・ツヤ深さにクラクラ来るのです。それに深々とかかったリバーブがもう熱中症にかかったのか自分でよくわからなくなるくらいに没入感があります。豊かすぎるバンド、グループのアンサンブルのすべてを接着し輝きを乗数倍にします。

編曲、演奏が豊かすぎてクラクラ来ます。

まず、ぶりぶりにぐいぐいに動きまくるベース。かと思えば緩急がしっかりあってBメロでは落ち着きがあり紳士的。振り回してくれます。

ドラムスの定位はフィルインのタムで左右に広げます。右側のコンガとは兄弟のように協調性のある音色。ハイハットのつぶ立ちの明瞭さがまぶしいよ。恒常的なキックが私の理性をぎりぎり保証してくれるよりどころです。

しゃわしゃわとかろやかで輝かしいストラト系っぽい音色のギターのリズムがシャワーのようなやさしげな陽光のよう。ワウのかかった鋭いトーンもどこかスムースでマイルド。ピアノのグリッサンドとヴィブラスラップ、シンバルのオープンストロークがぱしゃんと重なって弾けて女神の海水浴かよ。躍動感。

トランペットの類の腰の軽いリフレインがくねくねと煽情的。ホーン類?のサスティンも熱い。ドゥ・ワップが「べびべび、びーまい girl」……と繰り返す、俺もそこに入って一緒に唱えたいという気持ちにさせます。楽しすぎる。

もうステージがきらきらで豊かでまぶしいのです。楽しい、きらびやかをやり切ってくれている。夢を魅せてくれる。エンターテイメント音楽の鑑要素が詰まっているのです。エンディングが近づきクラップの音色も入ってきてもう私はニヤニヤです。そしてぱっと立ち消えるようなカットアウトのエンディング、空間に残り轟くマーチンの歌声のリバーブでもう私はとろとろにとろけて満たされている。この夏は勝ったぜ。

青沼詩郎

参考Wikipedia>め組のひと

参考歌詞サイト 歌ネット>め組のひと 

ラッツ & スター ソニーミュージックサイトへのリンク

MASAYUKI SUZUKI Official Websiteへのリンク

『め組のひと』を収録したラッツ&スターのベストアルバム『14 CARATS』(1984)

ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『【寸評つき】め組のひと(ラッツ&スター RATS & STARの曲)ギター弾き語り』)